2023年02月
2023年02月25日
Decca XMSを鳴らすプレーヤーはガラードだけじゃない
追加です。
YouTubeにアップしたB面のJ.S.Bach 無伴奏 No.5 In C Minor Janos Starker Decca XMS Decca record Playerが好評でしたので、A面のNo.2も鳴らしてみました。
J.S.Bach 無伴奏 No.2 In A Minor Janos Starker Decca XMS Decca record Player
これでレコード1枚分になります。
追加終わり。

Decca XMSを鳴らすレコードプレーヤーは、そのほとんどがガラード製である。
XMSが使われていたモノラルのデッカデコラやビューデッカ、さらにはデカリアンのプレーヤーにもすべてガラードのプレーヤーが使われていた。
デッカはレコードプレーヤーも販売していたはずである。
あるのだ。
ただし、残念ながら数が少ない。
今回は、珍しいデッカのXMS用プレーヤーを紹介する。


作りはいたってシンプル、画像左下に電源スイッチ、左上に回転数選択レバー、アームは以前紹介した放送局用アームとは異なるちょっとドテッとした形状をしている。
英国仕様だから、電源は240Vであるが、モーターの配線を直列接続から並列接続に変更することで、100Vで使えるようにした。

画像を見てお分かりのように、ターンテーブル初期のメカであるリムドライブを採用している。
モーターの軸上にあるプーリー、アイドラーホイール、プラッターの内側、の順にそれぞれが接することで、回転が伝えられる。
アイドラーのゴムが高速回転するモーターの振動を抑える役目を果たすのだが、どうしても振動が伝わりそうに見えてしまう。
実際のところ、33及び45回転ではそれほどでもないが、78回転では、少々気になった。
リムドライブの良さは、音の力強さと、音色(ねいろ)の良さなのであろう。
低音の充実もありそうである。
古い方式でありながら、Garrard301に代表されるように、名器と呼ばれるターンテーブルには、リムドライブのものが多い。
速度微調整機構のないターンテーブルは、ストロボで測定すると概して回転が速めである。
私にとっては気にならない程度であるが、繊細な耳を持った方には不向きかもしれない。
まあ、音を聴いてみてください。
J.S.Bach 無伴奏 No.5 In C Minor Janos Starker Decca XMS Decca record Player

モノラルレコードの音の力強さ、充実した低音を感じていただけるでしょうか。
ステレオ以降では、何かおつにすました音に、私は感じてしまうのです。
2023年02月13日
古いDeccaのアームをXMS用に改造 その2

前回のブログで紹介したアームがもう一本あるはずだと思っていた。
ただし、荒野のごとき店のどこにそれがあるのかさっぱりわからない。
懇意のお客様からGarrard 4HFの調整を頼まれていた。
調整が終わりテストの段階になって、シェルがないことに気づいた。
Type-Aにも使われているシェルだから、店のどこかにあるはずだ。
探してみたけれど見当たらない。
3日ほど探してようやく見つけた。
一か所にまとめて整理して保管されていた。
私のようなダメ人間は、下手に整理するとかえって見つけにくくなる。
何か所にもバラバラにあれば、見つける確率が高くなるのだ。
まあ、シェルを見つけることに苦労して、探しまくったおかげで、あるはずだと思っていたあのアームが見つかったのである。
アームは必ずしも必要なものではなかったから、探す気にはならなかった。
テストのためにどうしてもシェルが必要だったから、真剣に探したのである。
アームが見つかったのは、余禄みたいなものだ。
お客様に頼まれたおかげである。感謝。

見つかって驚いたことに、Decca XMS用の3ピンソケットが装着されていた。
XMSが使えるように改造されていたのである。
改造は自分がやったに違いないのであるが、全く記憶にない。
これが老人ボケというものなのだろう。
ソケットは4ピンだから、Type‐Aから取り外したものらしい。


このアームに装着されていたオリジナルのカートリッジを調べてみた。
分解の仕方がよくわからなかったけれど、蝶番(ちょうつがい)らしきものがあることに気づき、分解できた。
構造はXMSと同じである。XMSの先祖様らしい。
針もXMSと同じである。
XMSの針が転用できるから、針圧を調整すれば、LPも鳴らせる。
やってみる気になった。
ソケットを元に戻して、配線するだけである。

画像の手前が、今回元に戻したアームである。
カートリッジのDCRは115Ω程度だから、低インピーダンスである。
XMSにはかなわないかもしれないが、それなりに聴ける。
さて、音を出してみよう。
XMSとオリジナルを比較してみました。たまにはタンゴもいいでしょう。
Francisco Canaro La Cumparsita Decca tonearm XMS用に改造
Francisco Canaro La Cumparsita Decca SP専用tonearmにLP針