2021年04月
2021年04月22日
Decca MK1アームをモノラル仕様にする
Decca MK1アームはステレオ仕様になっている。
Decca Mkシリーズのカートリッジにはモノラル用のものもあるが、ステレオ再生を考慮して左右から同じ音が出るように作られている。
すべてステレオで再生する仕様なのだ。
デッカのステレオ方式を考えてみる。

カートリッジを装着する受けには4個の接点がある。
通常のカートリッジでは、左右の+-が独立していて、計4個の接点がある。
同じように思えるが、Deccaのカートリッジは、左右のーは独立することなく一つにまとめられている。
ーが共通であることから、ステレオにするには、3個の接点があれば事足りるのである。
画像の接点で説明すると、右端(右+)、左端(左+)、右から2番目(左右共通ー)である。
左から2番目は使われていないのかというと、内部の配線はちゃんとしてある。
じゃあ、これは何なのだろう。

上の画像のように4本の線が出ている。
緑(右+)、赤(左+)、シールド(左右共通ー)である。
黄色(白のこともある)は? そうだ、あの左から2番目につながっている。
ただし、この線はステレオのプラグにつながることなく、無視されている。
ここからは私の勝手な推測です。間違っているかもしれません。その際は指摘してください。
デッカのステレオは特殊で、3個のコイルでステレオ再生している。
1個が大きなコイルでXMSと同様、水平に座しモノラル成分の信号を生成する。
2個の小さなコイルは左右の信号を生成し、それぞれにモノラル成分を加え、左右のチャンネルに供給している。
ただつないだだけでは全部が混じってしまうので、小さな抵抗とコンデンサで、左右の独立を保っている。
この時、1個の大きなコイルからの出力は、XMSの出力と同様のものだった。
多分デッカはこの信号に絶対の自信があったのでしょう。
取り出すことを可能にしたかったのでしょうね。
中波の放送局などで使うことを想定していたのかもしれません。
これが黄色(白)い線の正体です。
大きなコイルが生成するモノラル信号だけを出力する線です。
ちなみに、モノラルのコイルが切れた状態のカートリッジを聴いたことがありますが、貧弱な音でした。
ステレオ出力においてもモノラル信号の役割は大きい。
さて前置きが長くなりました。
今回は、ハブられていたモノラル出力を使って、モノラル仕様のアームを作ろうというものです。
オリジナルのコードが出ているものでしたら、黄色(白)を+、シールドを-にしてRCAのプラグを作るだけで出来上がりです。
かつて、ステレオとモノラルの両方に使える3個のプラグを持ったアームを紹介したことがあったと思います。このブログだったかは定かでありません。
もう10年以上前、取引先のイギリス人にデッカのアームを譲ってもらいました。
彼が言うには、譲るのはいいけれど、あまりきれいではない、カニバリズムでどうにかしてくれとのことでした。
カニバリズムとは、共食いのことです。
2個1,3個1のように寄せ集めてよいアームを作れということでした。
確かにキレイではなかったので、今も部品が残っています。
今回はその部品を使い、その後必要な部品を新品で購入したのもありますので、組み立ててみます。
今回は内部の配線もします。

ケーブルはネグレックスの太いやつを使います。

モノラル専用だから、内側2個だけの配線。この部品は新品。

こういう部品を使う。
軸に通して、べアリングを調整してああもうすぐできると思った。
ベアリングと言っても、円錐形に尖ったものが円錐形にへこんだ穴にはまるだけです。
ボールなどはありません。軸が回転できるなら、ただの穴だけでもベアリングです。
摩擦の大小は関係ないらしいです。
ん? こんなのがあるじゃんよう。

この部品は新品。
指かけだ。
つけようとした。無理。カートリッジの受けの部品が邪魔して入らない。
ケーブルを引っ張り出して、指かけを装着するしかない。
また最初からだ。さすが俺、どこかでチョンボする。
だから俺、他人と共同の仕事はできないんだ。
仕事は遅いし、よくへまをする。独りは気楽でいいね。
はいはい、やりますよ。

後から考えたら、直接はんだ付けしてはいない。円筒形の筒にはんだ付けして、端子にさしてあるだけだ。円筒形の筒が刺さっているだけだから、引っ張れば外れるんだ。
外して指かけをつけて、2個の円筒形を刺せばよかったのだ。
さすが俺、無駄なことをした。
ま、こんなもんでしょう。

どうにか完成。
ステレオカートリッジでモノラルが聴ける。
それもXMS方式。
私のように、再販盤を聴いているような貧乏人は、再販盤をどうにかしてよい音で鳴らしたいと思っているのです。
再販盤は、モノラルでも0.7ミルの針に合うものが多くなる。
それだとXMSは厳しい。
ステレオカートリッジなら合うんじゃないの。
YouTubeに載せました。聴いてみてください。
Ginette Neveu Danse Espagnole Decca MK1 tonearm モノラル仕様
モノラルの音はステレオに優ると思っております。次は、国産の再販盤です。
Tommy Flanagan Trio Little Rock from Overseas Decca MK1 tonearm モノラル仕様
OJCの再発盤です。今回は、Decca MK3の楕円針ステレオカートリッジのモノラル成分を取り出しました。
Miles Davis A Night In Tunisia from The Musings Of Miles OJC-004 Decca MK1 tonearm モノラル仕様 Decca MK3
前回のブログでは、ステレオレコード、ステレオカートリッジでモノラル成分だけを取り出し鳴らしています。左右に分かれる音は小さくなってしまうかもしれませんが、十分楽しめるはずです。
よろしかったらご参照ください。
2021年04月17日
Leak TL/25 Plusの整備
追加です。
私には、ピアノが泣いているように感じるのですが、どうでしょう。
盤は国産のスーパーアナログディスクです。
Cry Me A River The Ray Brown Trio Leak TL/25 Plus Decca mk1 Stereo
次は、再販のモノラル盤です。傷音がしますが、それは省いて聴いてください。
ella & louis Tenderly Leak TL/25 plus Decca MK2
追加終わり。
店には部品取り用に購入したLeakのアンプが何台かある。
そんな中で、TL/25 Plusもその一台である。
部品取り用に買ったのだから、当然状態は良くない。
悲惨な状態である。
まずは、基盤の右端が燃えてしまってなくなっている。
電源トランスがオリジナルではない。
ブロック型電解コンデンサがなくなって、穴が開いている。
基盤が燃えている、電源トランスが焼き切れている症状は、まあ、ハイパワーのTL/25 Plusには、よくあるパターンである。
最終段のカップリングコンデンサ0.25uFが劣化すると、EL34のカソードに接続する抵抗440Ωに過電流が流れ焼けてしまうのだ。
過電流で、電源トランスも焼き切れる。
今回整備したTL/25も、まさに440Ωの抵抗部分から焼けてなくなっている。電源トランスも切れたのだろう。
さて、整備方針である。
まずは電源トランス。
お客様のTL/50 Plusを修理した際、苦肉の策として国産の電源トランスで載せ替えたのが、予想以上に良い音で鳴り、その音はオリジナルを超えているように感じた。(五つ前のブログ参照)
その経験を踏まえ、電源トランスは、国産を使う。
焼けた基盤は、ベークライトをつぎ足し、ハトメ加工を施し再生させる。
ブロック型電解コンデンサがなくなっているので、その隙間にチョークを載せる。
コロナで時間はたっぷりある。ゆっくり作業する。

国産電源トランスとチョークを装着。

ベークライトを追加。
電源トランスにあたるので、ベークライトをカットしなければならない。

ベークライトをカットして、ハトメで端子を再生。
ベークライトの裏側を撮り忘れました。代わりにTL/50 Plusの基盤裏側をお見せします。

似たようなものですが、機種によって部品の位置及び配線は異なります。
Leakアンプの配線の美しさは、この基盤によって支えられています。
なくなった部分の裏の配線に、ほんの一部分にもかかわらず苦労しました。
作った人の意図が見えてくるまでよくわからないものです。
ここまでくれば、あとは日常の修理と変わりない。
基板上のほぼすべての部品を交換して出来上がりである。

EF86,ECC81,GZ34はムラードですが、EL34の2本はRFTです。

アウトプットトランスはオリジナル、電源トランスとチョークは国産です。
へたりの来たオリジナルよりも、電源トランスは国産のほうが音が良いように思えるのですが、どうでしょう。
YouTubeでご確認ください。
次のブログで書くつもりですが、Decca MK1アームは内部の配線を変えることで、モノラル用の信号だけを取り出すことが可能です。そのように換えてあります。レコードもカートリッジもステレオですが、モノラルの音です。信号を取りだしているコイルの方式は、XMSと同じだと思います。
John Coltrane Good Bait from Soultrane Leak TL/25 Plus Decca MK1 Stereo
私には、ピアノが泣いているように感じるのですが、どうでしょう。
盤は国産のスーパーアナログディスクです。
Cry Me A River The Ray Brown Trio Leak TL/25 Plus Decca mk1 Stereo
次は、再販のモノラル盤です。傷音がしますが、それは省いて聴いてください。
ella & louis Tenderly Leak TL/25 plus Decca MK2
追加終わり。
店には部品取り用に購入したLeakのアンプが何台かある。
そんな中で、TL/25 Plusもその一台である。
部品取り用に買ったのだから、当然状態は良くない。
悲惨な状態である。
まずは、基盤の右端が燃えてしまってなくなっている。
電源トランスがオリジナルではない。
ブロック型電解コンデンサがなくなって、穴が開いている。
基盤が燃えている、電源トランスが焼き切れている症状は、まあ、ハイパワーのTL/25 Plusには、よくあるパターンである。
最終段のカップリングコンデンサ0.25uFが劣化すると、EL34のカソードに接続する抵抗440Ωに過電流が流れ焼けてしまうのだ。
過電流で、電源トランスも焼き切れる。
今回整備したTL/25も、まさに440Ωの抵抗部分から焼けてなくなっている。電源トランスも切れたのだろう。
さて、整備方針である。
まずは電源トランス。
お客様のTL/50 Plusを修理した際、苦肉の策として国産の電源トランスで載せ替えたのが、予想以上に良い音で鳴り、その音はオリジナルを超えているように感じた。(五つ前のブログ参照)
その経験を踏まえ、電源トランスは、国産を使う。
焼けた基盤は、ベークライトをつぎ足し、ハトメ加工を施し再生させる。
ブロック型電解コンデンサがなくなっているので、その隙間にチョークを載せる。
コロナで時間はたっぷりある。ゆっくり作業する。

国産電源トランスとチョークを装着。

ベークライトを追加。
電源トランスにあたるので、ベークライトをカットしなければならない。

ベークライトをカットして、ハトメで端子を再生。
ベークライトの裏側を撮り忘れました。代わりにTL/50 Plusの基盤裏側をお見せします。

似たようなものですが、機種によって部品の位置及び配線は異なります。
Leakアンプの配線の美しさは、この基盤によって支えられています。
なくなった部分の裏の配線に、ほんの一部分にもかかわらず苦労しました。
作った人の意図が見えてくるまでよくわからないものです。
ここまでくれば、あとは日常の修理と変わりない。
基板上のほぼすべての部品を交換して出来上がりである。

EF86,ECC81,GZ34はムラードですが、EL34の2本はRFTです。

アウトプットトランスはオリジナル、電源トランスとチョークは国産です。
へたりの来たオリジナルよりも、電源トランスは国産のほうが音が良いように思えるのですが、どうでしょう。
YouTubeでご確認ください。
次のブログで書くつもりですが、Decca MK1アームは内部の配線を変えることで、モノラル用の信号だけを取り出すことが可能です。そのように換えてあります。レコードもカートリッジもステレオですが、モノラルの音です。信号を取りだしているコイルの方式は、XMSと同じだと思います。
John Coltrane Good Bait from Soultrane Leak TL/25 Plus Decca MK1 Stereo
2021年04月10日
ひと文字の違い
毎日のように通う近所のスーパーで、ん?変だと感じた。
コロナの注意喚起を呼びかける館内放送に関してである。
体の不調を感じた際は、「無理にご来店はひかえ」と言っている。
これ、「無理なご来店はひかえ」じゃないかなと、体がむずむずするのである。
無理の後の「に」と「な」の違いだけである。
まあ、意図が違って伝わるわけではないので、何も言わずにいる。
ここで、かつてラジオで聴いてひどく感心した話を思い出す。
「てにをは(助詞)」の乱れを憂いた女子高の男性教師の話である。
彼は、「てにおは」の乱れが憂慮すべき事柄であることを示す良い例はないかと考え、最適な例を思いつく。
そこで、女子生徒の前で問いかけたのである。
「五本の指に入る女」と「五本の指が入る女」、君たちはどちらの女になりたいと思うか。
指の後の「に」と「が」ひと文字の違いだけである。
この場合、意味は全く異なる。
前者は、とびぬけていい女を表し、後者は、映像としてイメージすべき女を表す。
なるほど、この例のように日本語は、助詞ひと文字で全く意味が違ってくるから、「てにをは」の乱れは憂慮すべき事柄である。
ちなみに、「五本の指が入る女」になりたい女子高生がいたかどうかまでは言及されてはいなかった。
将来、AVに出演することを夢見る女子高生なら、そうなりたいと思ったかもしれない。
GTKaudio
コロナの注意喚起を呼びかける館内放送に関してである。
体の不調を感じた際は、「無理にご来店はひかえ」と言っている。
これ、「無理なご来店はひかえ」じゃないかなと、体がむずむずするのである。
無理の後の「に」と「な」の違いだけである。
まあ、意図が違って伝わるわけではないので、何も言わずにいる。
ここで、かつてラジオで聴いてひどく感心した話を思い出す。
「てにをは(助詞)」の乱れを憂いた女子高の男性教師の話である。
彼は、「てにおは」の乱れが憂慮すべき事柄であることを示す良い例はないかと考え、最適な例を思いつく。
そこで、女子生徒の前で問いかけたのである。
「五本の指に入る女」と「五本の指が入る女」、君たちはどちらの女になりたいと思うか。
指の後の「に」と「が」ひと文字の違いだけである。
この場合、意味は全く異なる。
前者は、とびぬけていい女を表し、後者は、映像としてイメージすべき女を表す。
なるほど、この例のように日本語は、助詞ひと文字で全く意味が違ってくるから、「てにをは」の乱れは憂慮すべき事柄である。
ちなみに、「五本の指が入る女」になりたい女子高生がいたかどうかまでは言及されてはいなかった。
将来、AVに出演することを夢見る女子高生なら、そうなりたいと思ったかもしれない。
GTKaudio