2021年01月
2021年01月28日
Leak TL/50の修理
懇意のお客様からの電話である。
かつて私がオーバーホールしたLeak TL/50のヒューズがとび、交換してもまた切れるとのことである。
そのとびかたが、すぐにではなく、数分鳴っていて、大丈夫かなと思った頃に切れるとのことであった。
なんか面倒くさそうである。
遠くのお客様だから、宅配便で送ってもらう。
こんな時まず思うのは、トランスがやられていなければいいがである。
お客様、梱包して郵便局へ持ってゆくと言っておられる。
「重たいでしょう」
TL/50はKT88のプッシュプルで50Wの出力だから、トランス類が重たく、さらにGTKオーディオでオーバーホールしたものは台をつけて電源部分をオイルコン化しているので、持ち上げるのが嫌になるくらい重たい。
梱包したら郵便局に持っていく気を無くしたそうで、取りに来てもらったとのことであった。
そうでしょう。

さて届いた。
トランス類の導通を調べる。
OKだった。
数日掛けて、一つ一つの部品の状態を調べていく。
これも問題ない。
よくわからないので、真空管はつけずに、電源を入れてみる。
Leakのアンプは、英国製だから、基本240Vである。
ヨーロッパへの輸出を考えてのことだろう、ジャンパーで200Vから段階をおって選べるようになっている。

200vに設定し、100Vをかけてみる。
2倍すれば実際の電圧がわかるし、アンプへの負担も軽減される。
電源トランスの電圧をテスターで測った時である。
両波整流だから高電圧は二組ある。一組が十数ボルトとやけに低い。
もう一組も180vと仕様よりも低い。
仕様では420vだから、その半分の210vのはずである。
とにかく、十数ボルトはいけない。

上の画像で、下側の2段ある端子の並びで右下2個が高電圧部、上の段の右端がアースとなる中点である。
右端の電圧が低い。内部でショートしていると考えられる。
ショートしたコイルは抵抗ゼロのループを作り、コイルによる電位差から、どんどん電流を流すことになると推論した。
1次側がショートしていたらすぐにヒューズはとぶけれど、2次側だからじっくりと溶けていくのだろう。
不安だから、電気に強い友人にこの推論で正しいか訊いてみた。
正しいそうだ。
トランスの導通を調べたとき、注意深く調べていたら、もっと早くわかっただろうに。
原因がわかったからと言って、何の解決にもならない。
トランスという最も厄介な問題が残っている。
救いはアウトプットトランスでないことだけだ。
アウトプットトランスだったらここで修理は完了せずに終わりになる。
出来合いの日本製電源トランスで修理することにする。
電源トランスなら、音への影響はほとんどないはずだ。
縦型の電源トランスは売られていないので、伏せ型で我慢する。
ちゃんとした音が出れば、お客様も納得してくださるはずである。
お客様の承諾も得た。
400v 260mAを購入した。
トランスは届いたが、さらに問題が出てきた。
伏せ型トランスが入るように、穴を広げなければならない。
1.6㎜程の鉄板である。加工した経験がない。
ドリルに装着するアタッチメント形式のニブラーを購入した。
安い。
残念。使い物にならない。ほとんど切れない。
本格的なニブラーを中古で購入した。
さすがである。切り始めるとこちらの意思に関係なくどんどん進んでゆく。深く切りすぎた。
トランスで隠れるから、まあ勘弁である。

装着したら、あとは配線して出来上がりである。気を付けて配線した。
さて鳴らしてみる。ヒューズは大丈夫。
不思議なことに、良い音なのだ。
私、TL/50は好みではないのだ。出力は大きいけど、しっとり感に欠ける。
だけど、このTL/50はいい音だと思う。
YouTubeに載せました。聴いてください。
Ella Fitzgerald Joe Pass I Want Talk About You Leak TL/50

かつて私がオーバーホールしたLeak TL/50のヒューズがとび、交換してもまた切れるとのことである。
そのとびかたが、すぐにではなく、数分鳴っていて、大丈夫かなと思った頃に切れるとのことであった。
なんか面倒くさそうである。
遠くのお客様だから、宅配便で送ってもらう。
こんな時まず思うのは、トランスがやられていなければいいがである。
お客様、梱包して郵便局へ持ってゆくと言っておられる。
「重たいでしょう」
TL/50はKT88のプッシュプルで50Wの出力だから、トランス類が重たく、さらにGTKオーディオでオーバーホールしたものは台をつけて電源部分をオイルコン化しているので、持ち上げるのが嫌になるくらい重たい。
梱包したら郵便局に持っていく気を無くしたそうで、取りに来てもらったとのことであった。
そうでしょう。

さて届いた。
トランス類の導通を調べる。
OKだった。
数日掛けて、一つ一つの部品の状態を調べていく。
これも問題ない。
よくわからないので、真空管はつけずに、電源を入れてみる。
Leakのアンプは、英国製だから、基本240Vである。
ヨーロッパへの輸出を考えてのことだろう、ジャンパーで200Vから段階をおって選べるようになっている。

200vに設定し、100Vをかけてみる。
2倍すれば実際の電圧がわかるし、アンプへの負担も軽減される。
電源トランスの電圧をテスターで測った時である。
両波整流だから高電圧は二組ある。一組が十数ボルトとやけに低い。
もう一組も180vと仕様よりも低い。
仕様では420vだから、その半分の210vのはずである。
とにかく、十数ボルトはいけない。

上の画像で、下側の2段ある端子の並びで右下2個が高電圧部、上の段の右端がアースとなる中点である。
右端の電圧が低い。内部でショートしていると考えられる。
ショートしたコイルは抵抗ゼロのループを作り、コイルによる電位差から、どんどん電流を流すことになると推論した。
1次側がショートしていたらすぐにヒューズはとぶけれど、2次側だからじっくりと溶けていくのだろう。
不安だから、電気に強い友人にこの推論で正しいか訊いてみた。
正しいそうだ。
トランスの導通を調べたとき、注意深く調べていたら、もっと早くわかっただろうに。
原因がわかったからと言って、何の解決にもならない。
トランスという最も厄介な問題が残っている。
救いはアウトプットトランスでないことだけだ。
アウトプットトランスだったらここで修理は完了せずに終わりになる。
出来合いの日本製電源トランスで修理することにする。
電源トランスなら、音への影響はほとんどないはずだ。
縦型の電源トランスは売られていないので、伏せ型で我慢する。
ちゃんとした音が出れば、お客様も納得してくださるはずである。
お客様の承諾も得た。
400v 260mAを購入した。
トランスは届いたが、さらに問題が出てきた。
伏せ型トランスが入るように、穴を広げなければならない。
1.6㎜程の鉄板である。加工した経験がない。
ドリルに装着するアタッチメント形式のニブラーを購入した。
安い。
残念。使い物にならない。ほとんど切れない。
本格的なニブラーを中古で購入した。
さすがである。切り始めるとこちらの意思に関係なくどんどん進んでゆく。深く切りすぎた。
トランスで隠れるから、まあ勘弁である。

装着したら、あとは配線して出来上がりである。気を付けて配線した。
さて鳴らしてみる。ヒューズは大丈夫。
不思議なことに、良い音なのだ。
私、TL/50は好みではないのだ。出力は大きいけど、しっとり感に欠ける。
だけど、このTL/50はいい音だと思う。
YouTubeに載せました。聴いてください。
Ella Fitzgerald Joe Pass I Want Talk About You Leak TL/50
