2019年05月
2019年05月29日
BJアーム
BJアームを整備することになった。
お客様から頼まれたのである。
一度はお断りした。
別の頼まれた修理が終わった時、今度はBJアームの実物を持ってこられた。
実物を見るとどうにかしたくなる。
XMSを聴きたいのに、アームのないお客様である。
壊しても良いとの承諾の下、修理してみることにした。
まずケーブルの導通を調べる。
ステレオの片方の導通がないうえに、XMSの配線とは異なる。
内部のケーブルを新しいものに換えた。
これで、ひとつ終わった。
次は、アームがスムースに動かないのをどうするかだ。
最初のほうに引っかかりがあり、そこを除いてレコードを鳴らすと、最後のあたりで針飛びを起こす。
調べてみると、ケーブルが悪さしていた。
左のアームが下に向いていて、ケーブルの上を通るとき、引っかかるのである。
ベアリングを調整したら、引っかからなくなった。
簡単そうであるが、何が原因でどうしたら直るのかを判断するまで、丸2日かかった。
何しろ、初めてのアームである。
まあどうにか直った。
修理しているうちに、このアームのコンセプトがわかってきた。
2本のアームが出た変な形をしていると思っていたが、一種のリニアトラッキングを狙ったアームである。
レコードの溝の円周の接戦上にカートリッジの向きが来るように、2本のアームで調節しているのである。
通常のアームは、軸を中心に円を描くから、当然円周の接戦上でないときがほとんどである。
その辺は、聴感上問題ないから許しているのである。
下の画像は、BJアームが溝に平行にカートリッジの向きを変えている様子を示しています。



音を聴くと、悪いアームではない。
ただ、調整部分が多くて、うまく鳴らすには熟練を要する。
リニアトラッキングだといって、他のアームより良い音がするわけでもない。
技術者は、聴感上問題なくても理想を求める。
オーディオにとっては無駄な努力であるが、こういう努力は今まで数多く行われてきたし、困ったことにマニアの間ではそれを受け入れる土壌がある。
スペックを求めて、つまらない音のシステムが何と多く存在することか。
CDの音がレコードの音にかなわないとわかったら、周波数帯域を広げれば解決するといって、SACDを作り、それに失敗すると同じコンセプトのハイレゾを出して売ろうとする。
やっぱりレコードの音にかなわないじゃないか。
オーディオにとって大事なことは、音に感じる能力があるかということである。
電気知識があるとか、技術的に優れているとかは、二の次である。
このような開発者は、ちゃんとした耳を持っているのか。
CDの開発者は、レコードの音より良い音だと思ったのだろう。
当時の評論家も良い音だと思ったのだ。
当時、CDよりレコードのほうが音が良いと断言する評論家はいなかった。
もう一度言う。
オーディオにとって大切なことは、音に感じる能力があるかということである。
感じる能力のない人間が、どんなに理想的なものを作っても、良い音などでないのである。
さて、BJアームの音ですが、YouTubeにアップしました。
これらのレコードは、すべて懇意のお客様に教えられて購入したものです。
クラシックにも、RVGの刻印のあるレコードがあるとのお客様からの情報で購入しました。
Susanne Lautenbacher Locatelli BJ arm Decca XMS
次は、そのお客様、もっと良い状態の同じレコードが手に入ったとのことで、状態の悪いのをプレゼントしてくださいました。私、針音は全然気になりません。RVGの刻印ありです。
懇意のお客様に感謝です。



2019年05月16日
音場整備 ただ今工事中
追加です。
工事が完了しました。
約束していたYouTubeへのアップです。
現行のSPUを新品で購入してみました。SPU-#1(S)の丸針です。
スライドベースを使い、AS212でAシェルに対応しています。
追加終わり。
店を移転して、問題になるのは、部屋の響きである。
6畳2間の壁をぶち抜き、12畳の部屋にした。
うーん微妙。
前面、後面ともに壁紙が貼ってあり、窓にカーテンのしつらえである。片側側面は、入り口の引き戸と壁紙。もう一つの側面は、収納スペースになっている。
壁紙をトントンとたたいてみる。
コンクリートに直接壁紙と、コンパネに壁紙のようだ。
壁をぶち抜いてくれた大工さんも、同意見だった。
音を出してみる。
旧店舗の音とは違う。
ボリュームの位置を大きくしなければならない。
響きがないということだ。
大きな音量にすると、いやな音も出てくる。
さて、この状態でどうにか調整してゆくか。できるなら、工事はしたくない。
たまたまいらした懇意のお客様に聴いてもらった。
ちょっと聴いて、ダメだとおっしゃる。
旧店舗に比べて、高音が濁っているという。
評論家のいうことは無視するが、懇意のお客様の評価は真摯に受け取る。
そうだよな、工事をしなきゃな。
その工事であるが、二つ考えられる。
ひとつは、現在ある壁紙を剥がし、石膏ボードを貼って新たな壁紙で仕上げる方法である。
コンパネ、石膏ボード、壁紙は音が良い。
昔、塾をやっていた時、何度か移転したが、大工さんに頼んで、常にこのコンパネ、石膏ボード、壁紙の組み合わせにしてもらっていた。
生徒に説明しているとき、反射して返ってくる自分の声が心地良いのである。
響きが良いのだ。
ただし、お金がかかる。店を辞める際、原状復帰させるのも大変である。
まあ、吝嗇の私としては、そこまではできない。
第二の方法として、全面に、段ボールを貼るという方法である。
要は紙が音に良い作用をもたらすということである。
音の吸収と反射の度合いが、ちょうど良いということなのだろう。
石膏ボードも、石膏を紙でサンドイッチさせている。紙なのだ。
この方法なら、私でもできる。さぶろく(90x180cm)の段ボールを買えばよい。
吝嗇の私は、この方法にした。
真空管オーディオフェアで何度も試しているから、効果のほどはわかっている。
綺麗に見せる努力は全くしないが、音を良くする努力なら、いくらでもする。
私は歳をとっているから、一日少しずつ、ゆっくりと工事した。
音が変わっていくさまも実感できた。
ある時点から急に音が違ってくるのだ。
まあ、これなら大丈夫だろう。
あと残りは1カ所である。
収納のある側面は、残念ながら、手付かずである。
3面は全部貼った。
天井にも貼りたいのだが、あとのことを考えて、やめた。

正面





最後の貼りが終わったら、YouTubeに載せて、音を聴いてもらいます。
乞うご期待です。
2019年05月04日
GTKオーディオの新しい店 その2




仕分けしてケースに詰めるのに一日3~4時間かけて、10日以上かかった。
主にクリアケースに入れたので、輸送は楽なはずである。
搬出、運搬、搬入は地上げの人たちがやってくれた。
捨てようと思っていたスチール棚は、管理者の彼の主張で全部持って行くことになった。
あとから分かったが、スチール棚にクリアケースを入れることで、出し入れが楽になった。
さすが管理者である。最初からイメージができていたらしい。

子供のころから知っている門前仲町であるから、だいたいではあるが全体がわかっているものと思っていた。
私の知っている門前仲町は、地図の清澄通りを挟む右側だけであった。
GTKオーディオの店は左側にある。
ちょっと雰囲気が違うのである。
行きかう人たちが、いっぱい気分のサラリーマンであったりする。
店にいると、カラオケで歌うがなり声や、道行く人の酒に酔い大声で話し合う声が聞こえてくる。
いやではないのである。それどころか、懐かしいと感じるのである。
おかしい。今まで、私は静かな場所でしか住んだことがない。住処を捜すのに、静かであることが第一条件であった。
なぜ懐かしいと感じるのであろうか。
不思議に思って、考え続けていた。
あ、そうか、新宿南口の飲み屋街だ。40年以上前のヨドバシカメラあたりの風景と似ているのだ。
私の人生で唯一のサラリーマン生活を送った3年間。性に合わないプログラマーとしての3年間。会社は新宿南口にあった。
あのころはつらかったけれど、今は懐かしさに変わっているのだ。
流れ流れて、繁華な裏町にたどり着いてしまいましたが、ここもまた私の好きな場所になりそうです。
夜遅く音を出しても問題ないのも気に入っています。
注意点があります。
階段が急です。階段じゃねえ、梯子段だ、とは壁をぶち抜いてくれた大工さん。
2階の踊り場に上がって降りる段差があります。つまずかないように。
TEL: 070-5013-6660
Mail: gakuyujp@yahoo.co.jp
TEL: 070-5013-6660
Mail: gakuyujp@yahoo.co.jp
2019年05月03日
GTKオーディオの新しい店

地図、第2版 大江戸線なら、出口6が近い
今回の店舗移設は、結局地上げにあったということである。
今は、かつてのような強引な地上げはできなくなっている。
デベロッパーも紳士的で丁寧であった。
こちらも、何が何でも保証をつりあげようとはしなかった。
移動に伴う費用と、家賃の上昇分を補てんしてもらった。
さて、引っ越しである。
当然、整理して箱詰めにする作業が発生する。
店にいらした方ならわかると思いますが、私には整理する能力が皆無である。
地上げの人は、「ご主人は何もしなくて結構です。すべてこちらでしますから」とおっしゃる。
それは無理な話である。
一般的な家財なら、任せることも可能ではあるが、ビンテージオーディオの機器や部品は、知らない人が見ればほとんどがごみである。
キャラメルの大きさの部品が、10万円を超えることだってざらにある。
そんな知識は、ビンテージオーディオを扱っている人にしかない。
ここに天の助けが登場する。
数年ぶりに来店された懇意のお客様が、十数年勤めた会社を辞めたという。
当然、手伝ってくれるよう懇願した。
O.K.
管理者ができたのである。
さて始まった。
数個の空き箱を用意し、ぐちゃぐちゃに入った物品の一つ一つを、仕分けしろと命令が下る。
いやだなーと思いつつ、見放されると路頭に迷うことはわかりきっているので、管理者の命令に従う。
コンデンサ、抵抗、ターンテーブル関連、真空管、トランス、アンプ関連、レコード、エトセトラ。
管理者の彼も、同じ作業をしている。こちとらの倍のスピードで。
満杯になった箱は、1階の空き部屋に、彼が運んでくれる。
すべて、管理者の彼の指示に従う。
こちらとしては、ぐうたらな私の態度に、業を煮やして、やめると言い出すんじゃないかとひやひやしている。
だから、まじめにやっている雰囲気だけは、私の周りに漂わせることに努力した。
ああ、思い出す。塾をやっていたころの引っ越しを。
手伝いに来た高校生の塾生が、ちょっと作業して、「休もうか」という私にあきれ、「血だな」というのである。
私のぐうたらさは、生得のもので、どうすることもできないという意味である。
まあ、その通りである。
まじめにやっている雰囲気は漂わせなきゃ。
続く。