2016年03月
2016年03月23日
Connoiseurターンテーブル Elac STS240
コニサーのターンテーブルである。
懇意のお客様に修理を依頼された。


軽く引き受けてしまったが、実物が届いてみると、大変な修理であることが分かった。

上の画像の左にある3組の部品はモーターのサスペンション、右の3組はアイドラーのサスペンションである。
ともに、留め金 ゴム 留め金 の構成になっている。
左のゴムはオリジナルではない。1個しかゴムは写っていないが、私のところに届いたとき、2個あった。
1個は欠損し、ほかの2個もはずれてモーターがブラブラになっていた。
金属とゴムを接着剤でつないでいるのだから、輸送中の振動で外れてしまったのであろう。
ゴムを買ってきて、接着剤でつけようとした。何度もやってみたが、結局外れてしまう。
たぶんコニサーの最大の弱点である。
さて工夫しなければならない。
ネジを心棒として、ゴムを使ってターンテーブルの機構とねじの金属同士が接触しないような構造の部品を作った。
やったことのない作業だから、何度も作ってテストをする繰り返しであった。
ようやく出来上がった。
ゴムだけのほうがSN比などは良いのかもしれないが、輸送途中で壊れることを考えれば、このようにするしかなかった。

テストに使ったカートリッジは、ElacのSTS240である。
お客様、モノラルはDeccaのXMSで決まったので、ステレオのカートリッジを決めたいとのご要望で、STS240を送ってくださった。
これでテストしてほしいとのことである。
初めて聴いたけれど、素晴らしい音のカートリッジである。
ターンテーブルも、壊れることなく鳴ることは分かったので、あとは砂入り台座に換えなければならない。
既存の台座で鳴らし、YouTubeにアップしましたので、興味のある方はGTKaudio1 Shimomuraで検索して聴いてみてください。
砂入り台座が出来上がったら、YouTubeで比較できるようにします。
2016年03月15日
PX4 手作りシングルパワーアンプ

PX4の自作シングルアンプである。
自作といっても、私の作ったものではない。
自作を趣味にしておられるお客様に作っていただいた。
PX4は数年前、動作するか不明のものを安く買っていた。
ヒーターの導通だけは確認して、いつか作ろうと思っていたのである。
残念ながら、何年もほったらかしになっていた。
作れそうもないので、去年の真空管オーディオフェア番外編で出店したとき、売ることにした。
真空管の販売は、手伝ってくださった方に、値付けは任せていた。
1万円で売ることになっていた。
売れなかったのである。

それならと、誰かに作ってもらうことにした。
チョークやアウトプットトランスは、英国製アンプをばらした時のものがいくつかある。
電気知識の豊富なお客様に頼んでみた。
電源トランスは日本製を使い、Leakのプリアンプとつなげるように作っていただいた。
製作途中で問題が発覚した。
私は知らなかったのですが、PX4にはヒーターが2組あるそうなのです。
その一つが切れていたのである。
一つでも音は出るけれど、飛ぶ電子の量が半分になってしまうそうである。
音色だけでも確認したかったので、そのまま製作の続行をお願いした。
音さえ出てくれればいい。
先週の土曜日3月12日に、店に完成品を持ってこられた。
三極管のシングルアンプ。
私の自作の経験からすると、細くて高音の綺麗な音を想像していた。
製作者の測定でも、80Hzから20KHzだそうで、その傾向は顕著である。
さらにヒーターの半分は切れているしねえ。
そんなに期待はできない。

さて試聴である。
全然違う。予想した音ではない。
太いのである。
低音の不足も気にならない。
Leakとは違う意味の魅力がある。
私の判断基準は、太くて情趣を感じさせる音である。
ヒーター半分ながら、基準にかなっている。
製作者のお話でも、初めてその音を聴いたとき、驚かれたそうである。
音さえ出れば大したものと考えていた私も驚いた。
コンデンサをオイルコンに換える前からこんな音が出るのか。
すぐにカップリングコンデンサをオイルコンに換えた。
もちろんさらに良くなった。
その日はここまでやって、製作者といろいろなレコードを聴いて過ごした。
ヒーターの半分切れたPX4三極管シングルアンプ、何でこんな太い音が出るのだろうとの私の問いに、「アウトプットトランスがいいんですよ」とのお客様の言。
測定値と、人間が感じる音の良さとの違いをお客様と共に再確認。
製作してくださったお客様に感謝である。
製作者の名前をブログに書いていいかとお聞きしたら、絶対に出さないでくれとのご返事である。
慎み深い人なのだ。
残念。
当然、電源部分もオイルコンにしたい。
シャーシに合わせてオイルコンを入れる台座を作らなければならないが、この大きさでは入りきらない。
翌日、台座を大きくしなければならないなどと考えていた時、使わなくなったStereo20用の台座が目に入った。
ああ、これを利用しよう。
上に2枚の板を渡せば、アンプを置くことができる。
売り物ではないので、それで十分である。
塗りも入れると1週間はかかる台座が、その日に出来上がった。
電源のオイルコンを集めて配線した。
あっという間に完成。
試聴する。
素晴らしい。
こんなに書いて、音を聴かせないわけにはいかない。
当然YouTubeに載せた。聴いてください。
まずは、バイオリンDAVID OISTRAKH、チェロSVIATOSLAV、ピアノLEV OBORIN。
久し振りの中島みゆき。
2016年03月06日
Decca XMS (げんこつ) カートリッジ その4
ひとつ前のブログで、ConnoiseurやGE バリレラを紹介しましたが、音は出していませんでした。
一番良いと私が思ったDecca XMSさえ音を出せばいいんじゃないかと考えていました。
地方にお住いの懇意のお客様から、他のも音出しするようにとの厳命です。
そうですね、コニサーなどは聴いたことのない方がほとんどだと思いますから、YouTubeに載せることにしました。
言葉ばかりで音は聴かせないんでは、評論家と同類になってしまいます。
私の言っていることが本当かどうか、確認してください。
すべて同じ音源、同じ曲です。
どうですか、どれもいいでしょう。
私の言っていること、嘘ではないでしょう。
モノラルはいいんです。
その中でも、私は、Decca XMSです。
なんてたって、Decca XMSです。
理由はありません。