2015年07月
2015年07月12日
Leak Dynamic Pickup

懇意のお客様から、Garrard401の台座を依頼された。
今回は、Decca MK1アームと、Leak Dynamic Pickupを共に使えるようにとの依頼である。
2本アームを付けるのではなく、交換することになる。
Decca MK1アーム用に穴をあけた。
Deccaは、軸間距離がおよそ212㎜、Leakは216.6㎜である。
少々異なる。

Deccaはいつものように、良い音で鳴った。
さて、Leakに付け替えた。
Leakのアームは、ボルトで固定する方式ではなく、大きなナットで軸を固定するタイプである。
Leakを固定すると、Deccaのボルト用穴が見えてしまう。
それは仕方がない。

軸間距離の問題であるが、Decca用に18㎜の穴をあけた。
Leakの軸はDeccaの軸とほぼ同じ太さである。
穴に対して軸は少し余裕がある。Leakの軸をなるべく遠ざかる位置にして、ナットで固定した。
軸間距離が、215㎜になった。
これでテストしてみた。
太い音である。ちょっと低域に寄りすぎかとも思った。
お客様のカートリッジには、LPとSPの区別の書かれた銘板がない。
SP用かと疑ってしまった。
実は私も、Dynamic Pickupを持っているのである。
アームが2本、カートリッジが2本、昇圧トランスが1個である。
ただ、2本のカートリッジはともに導通がない。さらに1個は針がとんでいるようだ。
直そうとしてうまくいかず、そのままになっていたのだ。
この際、もう一度直してみる気持ちになった。

細い線をどうにかして半田付けしてみた。
なかなかうまくいかない。
目では見えないほどなので、導通を確かめながらの作業である。
長い時間をかけて、ようやく完了した。
TD124用のボードに装着して、テストしてみた。
針がへたっているのか、時々キュルキュルという音が出る。
それでも太い音である。低域の寄りはお客様のほどではない。
何とも魅力的な音である。
お客様のカートリッジで、3枚ほどLPを聴いているうちに、私のと同じような音に変わっていった。
さらにお客様のカートリッジは針の状態がよいのか、キュルキュル音も全然しない。
H.J.Leakという人は、確かな耳を持った人ですね。
こんな魅力的な音を出していたんですか。
作った人は違うにしても、音に対する責任を持っていたのはH.J.Leakである。
彼が辞めた後、Leakの音は駄目になる。当然のことである。
聴いてもらいましょう。
再販のLPですが、マイルスです。
追加です。
懇意のお客様の推薦で、再発の新品ジャズレコード2枚を購入しました。
マイルスのMy Funny Valentineはモノラルですが、溝が特殊なのか、今まで良く鳴っていたお客様のLeak カートリッジではうまく鳴らず、これだけは私のカートリッジでキュルキュル音もなく鳴りました。聴いてみてください。
もう一枚は、ステレオ盤のWaltz for Debbyでしたので、いつものオルトフォンMC10で鳴らしました。これもお聴きください。
ちなみに、ここで鳴らしているVarislope Stereoプリアンプは、以前私がオーバーホールしたもので、そのお客様から、「正常に鳴るけれど、他のと比較するとちょっと違う」とのことで、送られてきたものです。
私にわかるかと不安でしたが、聴いてみると、コクがないことがすぐにわかりました。
何台もオーバーホールを依頼されたお客様で、このアンプは初期のころの直しで、2か所、今の直しと異なるところがありました。
そこを直し、現在の音になりました。コクがあることが分かるでしょうか。
音にも、コクとか味わいはあるものです。私はそれこそが大事だと思っております。
芸術の本質は、論理では説明できないところにあるものです。
感じていただくしか、仕方のないものです。