2014年04月

2014年04月22日

Goodmans Maximの整備

 
本題のMaximを鳴らして、YouTubeにアップしました。まずは、お聴きください。
 
 
もうひとつ、
 
 
 
懇意のお客様から、Goodmans Maximの調整を頼まれた。
 
私が英国から購入するMaximと違って、整備してあるせいか綺麗である。
 
傷はあっても目立たない。
 
前面の鉄板も塗り直してある。
 
丁寧な仕上がりである。
 
イメージ 1
イメージ 2
 
 
 
音を聴いてみた。
 
歪はない。
 
直す必要はないかと思った。
 
そのまま鳴らしていた。
 
つまらないと思い始めたのである。
 
どこがとは言えない。
 
ただつまらないのである。
 
GTKオーディオで鳴っているMaximの音とは違う。
 
やはりコンデンサを交換しよう。
 
イメージ 6
 
 
 
スピーカーを装着する前面には、金属板が使われている。
 
分解はここから行う。
 
木ネジを外して、金属板をはずそうとした。
 
はずれないのである。
 
もしかしたら、金属板を接着してしまったのか。
 
その日は諦めた。
 
 
 
翌日、少々手荒なことをした。
 
前面を下に向けて、柔らかい床に打ちつけたのである。
 
何度か繰りかえすうちに、ようやくはずれた。
 
 
 
さてコンデンサである。
 
外してみた。
 
イメージ 3
 
Maximには、8uFと4uFの2個のコンデンサが使われている。
 
測定した。
 
ひどい。
 
8uFはほぼ規格通りだが、4uFが8uFほどある。容量が2倍になっているのである。
 
これではダメだ。
 
音がつまらないと思ったのはこのせいかもしれない。
 
イメージ 4
イメージ 5
 
 
取り替える。
 
以前は全てオイルコンに交換していたけれども、今は8uFにオイルコンよりも結果の良かったノンポーラ電解コンを使っている。
 
4uFはオイルコンである。
 
オイルは抜けているけれど、容量は10%の誤差に収まっている。
 
新しいものならいくらでもあるが、音の艶を考えたらこちらである。
 
もちろん全て英国製にした。
 
 
 
交換した。
 
GTKオーディオで鳴っているMaximの音である。
 
 
 
今回の整備、まさに日本のオーディオを表している。
 
客は綺麗なものを欲しがる。
 
オーディオ店は、見た目をよくすることに努力する。
 
綺麗にすれば、売れるのである。
 
音は2の次になっている。
 
 
 
客は綺麗かどうかを見分ける目があることを誇る。
 
違いの分かるお年頃だとよ。
 
そんなことは誰だってわかることなのに。
 
オーディオは、見た目ですか。
 
馬鹿馬鹿しい。
 
私は音だと思うのですが。
 
 
 
汚い機器から、素晴らしい音が出ている。
 
シュールですぜ。
 
 
 
こんなことばかり言っているから、GTKオーディオは儲からない。
 
これもまたシュールだな。
 
リアリズムだぜ。
 
 
 
芸術は理解するものではありません。感じるものです。
 
 
 
 
 


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2014年04月19日

デジカメの映像取り込みソフト

 
偶然分かったことである。
 
 
デジカメから映像をパソコンに取り込む際、デジカメ付属のソフトを使っていた。
 
古くなったパソコンを新しくした。
 
不具合が起こったのである。
 
画像は取り込めるのだが、映像が取り込めない。
 
困った。
 
 
デジカメのソフトを使うと、パソコン内に整理してデータを保存できるし、録音録画の状態もチェックできる。
 
さらに、いつでも取り出せるので重宝していた。
 
それができないのである。
 
この前のブログに書いた、淡谷のり子の「別れのブルース」とビルエバンスの「Walkin' Up」を載せようとしていた。
 
残念ながら、一度はYouTubeへのアップロードを諦めた。
 
 
仕方なく、ほかの仕事をしていた。
 
しばらくして、「ん、もしかして」と思いついた。
 
メディアから直接YouTubeにアップすればよいのでは。
 
やってみた。
 
出来たのである。
 
考えてみれば当然のことである。
 
 
チェックは、アップロード後に行うことになる。
 
SPの針音が気になるが、まあ仕方がない。
 
ただ、若いときの淡谷のり子は、こんな魅力的な声をしていたのかと驚いた。
 
年老いてからの声しか知らなかったので、淡谷のり子になんの魅力も感じていなかったのである。
 
この人のかつての人気も納得できた。
 
 
 
それだけではないのである。
 
どうもデジカメのソフトを介さないで、直接アップロードしたほうが、音が良いのである。
 
耳の良い友人に聴いてもらった。
 
「こういうのを、俺たちは角が立っている音というのだ」
 
彼はオーディオを何十年もやっていて、素人に毛の生えたような私とは違う。
 
そのような専門用語を私が知らないことを良く理解している。
 
なんとなくわかる気がする。
 
彼によると、デジカメの取り込みソフトは、音にリミッターをかけてしまっているのではないかと解析してくれた。
 
丸まって聴きやすくはなるけれど、生々しさも削られてしまうというのである。
 
 
 
同感である。
 
全く偶然ではあったけれど、この方法が分かってよかったと思う。
 
これからは、ソフトは使わずに、メディアから直接アップすることにする。
 
直接アップした例としてひとつ。
 
John Coltrane And Johnny Hartmanから[They Say It's Wonderful]
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


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2014年04月15日

Deccaの針交換

 
以前Deccaの針交換を頼まれたお客様から再び電話をいただき、MK1 2個の針交換を新たにしてほしいとのことであった。
 
針交換は久しぶりである。
 
針交換を頼んでいる英国の会社ともしばらく連絡を取っていなかった。
 
相手もかなりの年である。連絡を取ってみた。
 
 
 
引退しているのではとの危惧も杞憂だった。
 
元気な返事が返ってきた。
 
I have missed you, I hope you are well.
 
「連絡がなくて寂しかった。元気でしたか」ぐらいの意味だろう。
 
なかなか、泣かせることを言う。現在完了の継続を使ったこういう表現もあるのかと興味深かった。
 
 
 
英国への往復の送料を考えて、お客様の2個のほかに、自分のDecca2個も頼むことにする。
 
Decca MK1のStereoとSP用の2個である。
 
イメージ 1
 
 
2週間ほどで、修理が完了した。
 
いつも思うことだが、修理してもらったDeccaのカートリッジは、調整してくれているせいか、音がいい。
 
今回は、特に素晴らしいと感じた。
 
そのことをお客さんに話すと、お客さんも同様に感じられていたようで、針交換でどうしてこんなに良くなるのか不思議だとおっしゃっていた。
 
細かい作業である。テンションワイヤーの張り方ひとつにも微妙なコツがあるのであろう。
 
 
 
私の修理してもらった2個は、ヤフオクに出した。
 
6-8万円で出品したが、SP用だけが6万円で落札された。
 
安い。
 
まあ、ヤフオクは、安さで勝負の世界だから仕方がない。
 
 
 
出品の際、YouTubeにアップしました。お聴きください。
 
まずはSP用、淡谷のり子の「別れのブルース」です。
 
年老いた淡谷のり子しか知らなかった耳に、若い時の淡谷のり子の声は新鮮です。
 
 
続いて、Stereo用、Bill Evansの[At The Montreux Jazz Festival]から、Walkin' Up。
 
 
 
 
 


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2014年04月08日

Leakとの出会い

 
10年ほど前、母の介護のため塾をたたみ、実家に帰らなければならなかった。
 
実家は東京下町の長屋である。
 
郊外の家と違って狭く、大きなオーディオセットは使えない。
 
マッキンMC75、マランツ8B,マランツ7、マッキンC11、アルテックA7、タンノイモニターレッド入りランカスター、ガラード301 4台、401 1台などは無理な話である。
 
仕方ない。ほぼすべてを売ってしまった。
 
 
 
残したのは、バッフルにつけたアルテック755EとDeccaのアームのついたGarrard301だけだった。
 
 
 
しかし、まったく音が聴けなくなるのも寂しいはなしである。
 
小さなアンプが欲しい。
 
 
 
Ebayを見ていた。
 
地味なデザインのトランジスタアンプがある。
 
しかも安い。
 
LeakのStereo30である。
 
Leakなんて知らないが、地味さと小ささが気に入った。
 
購入してみた。
 
驚いたことに送料が価格の数倍であった。
 
騙されたかとも思ったけれど、乗りかかった舟である、送ってもらった。
 
 
 
 
音を聴いて驚いた。
 
良いのである。
 
トランジスタの音とは思えない。
 
 
 
 
調べてみると、Leakは真空管アンプも出している。
 
真空管アンプなら、もっといいのではないか。
 
がぜん、買いたくなった。
 
アメリカのアンプとは違って小さくて軽い。
 
しかも安いのである。
 
 
 
 
TL/12plusメインアンプとVarislopeⅢプリアンプを購入した。
 
ともにモノラルだったので、2台ずつである。
 
日本人など、だれも買う人がいない時代である。
 
私が知らなかったように、日本人でLeakを知っている人はほとんどいなかった。
 
だから、安かった。
 
 
 
 
さて音である。
 
驚いた。
 
何に。
 
真空管とトランジスタの音の連続性にである。
 
確かに真空管のほうが濃厚な音である。
 
しかし、基本の音は変わらない。
 
何だろうと思った。
 
 
 
 
ある日、実家の狭い6畳で、真空管アンプで音を鳴らしていた時、H.J,Leakに囁きかけられているような気分になった。それも日本語で。
 
「どうだ、いい音だろう。俺がいい音と思うのはこれなんだ。楽しんでくれ」
 
身動きできなかった。
 
こうべを垂れて、音に聴き入るしかなかった。
 
 
 
 
おそらくH.J.Leakは、トランジスタが真空管よりも良い素材であるとは思えなかったのである。
 
真空管で作り上げてきた自分の音を、トランジスタでも再現したいと思ったに違いない。
 
自分の音に対するなんという自信だろうか。
 
うん、この人は信じられる、と私が感じた瞬間であった。
 
 
 
 
覚悟を持った人の魂に触れるとき、私は感動を覚える性質(たち)のようです。
 
 


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