2012年11月
2012年11月29日
熟練
以前ブログに書いた印刷屋さんの話である。
今日店に来て言われるのである。
「急にいなくなるのも悪いから挨拶に来たんです」
何だろう。
「廃業するんですよ」
「え?」
そんなに大変だったのか。
もうドイツ製の印刷機も、インドに送られることになったという。
当時数千万円した印刷機も、二束三文で引き取られたそうだ。
私は店に来る時間が遅くなってしまうから、印刷機が搬送されるのも気づかなかったようだ。
今は小規模の事業者が、廃業できるのは、まだ良いほうだと聞く。
廃業しようにも、借金に縛られて、身動きできないそうなのである。
印刷機のローンも終えていて、借金は無いとのことである。
潮時なのかもしれないけれど、それにしても惜しい。
印刷機は動いていたのだ。
「赤字ではなかったのでしょう」
「うん、だけど、そのうち赤字になるのは目に見えていた」
「単価が安すぎる、原油関連の材料費は高くなるばかりなんだ」
「ここがなくなると困るとこもあるのでは」
「デザイナーが困るかも、もう少し暖かい色調にしてくれとか、難しいこと言っていたからね」
難しい注文に応えてきたのだ。
熟練した技術を持った人が仕事をやめる。
日本の、いや世界の先進国の、いたるところで起こっていることである。
これの解決策は本当に難しい。
人間の労働価値が、すさまじい勢いで低下している。
かつては1機能1品種であったものが、パソコンやスマートフォンに代表されるように、多機能1品種になっているのである。
1機能1品種を作り出すために、多くの労働力を必要とした。10の機能を必要とするなら、10品種に見合った10倍の労働力を必要とした。
多機能1品種を作り出すために、かつての1機能1品種の労働力を必要とするのだろうか。
かつ多機能1品種の機能数は、ソフトさえあれば、100の機能にとどまらないのである。
大して労働力を必要としなくなるはずである。
先進国の中で、日本は製造業の割合が高すぎるとドラッガーが指摘していた。
それなら、サービス業や農業に、製造業の労働力を吸収するキャパシティーはあるのだろうか。
私には荷が重過ぎる問題である。
専門家の意見を聞きたい。
印刷屋さんの廃業は、私にとって、あまりにもショックでしたので、こんなことを考えてしまいました。
2012年11月20日
ピカリング カートリッジ

以前お客様からいただいたピカリングのカートリッジを試してみました。
Pickeringのカートリッジは、オークションでも安く買えますので、使えればこれに越したことはありません。
アームは、SME3009を使いました。
このアームは足りない部品をよせ集めて作ったものです。
かつてイギリス人から傷の多いDeccaのアームを数本購入した時、cannibalism(共食い)でどうにかしろと言われました。
そう、2本のSME3009から、cannibalismにより、まあまあの状態のSME3009を1本作り上げたのです。

SMEのアームも、ピカリングのカートリッジも、共に扱い慣れてはおりません。
全てに適当な私の性格と相まって、性能をフルに発揮しているとは思えませんが、私の力では、まあこんなところです。
こ汚いガラードです、YouTubeでお聴きください。
YouTubeでは、掲載後もどんどん修正されるようです。
昨日、アップした後、懇意のお客様にYouTubeで聴いていただき、感想をお願いしたところ、「あまりよくない」との ご返事でした。
今日再び聴かれて、「昨日よりずっと良くなっている」とのメールをいただきました。
今までも感じたことですが、掲載後時間が経つとYouTubeの音は良くなる傾向があります。
ああ、そうそう、ターンテーブルの脚に、2枚重ねにしたフェルトを貼り付けました。
こんなものでも音は変わります。
昨日は、ちょっとショックでしたが、気を取り直して新しいのを載せます。
45回転EP盤を聴いてみましょう。
機器は同じものを使い、越路吹雪を聴きます。
1枚のEP盤の、表と裏2曲です。
{あいつ}と{爪}です。
あ、今想い出しました。
高校時代、腰にヘルニア、肛門にいぼ痔、をかかえた奴が、「もう、越路吹雪だよ」と言っていました。
懐かしい。
考えてみれば、いぼ痔より、切れ痔のほうがそのあとに続く「吹雪く」感じにあっていますね。
どうでもいいか。
2012年11月09日
Wharfedale サンドフィルド スピーカー
以前紹介しましたワーフデールの砂入りバッフルです。
前回のものは前面だけで、コーナーに密着させてふたをする形式のバッフルでした。
今回は、前面はまったく同じですが、2枚の裏蓋が付いてきました。
驚いたことに、その裏蓋まで、砂が入っています。
それほど大きくない裏蓋が、大変重たい。
どのようにしたらこんなに綺麗な状態を保てるのかと思うほどに美しい。
さらにツイターが上に載っている。もちろん上向きである。
どでかいアルニコのスパースリー。すばらしい。
以前からあるバッフルに裏蓋をつけて、ステレオで聴いてみた。
片側はツイターがないので、ツイターからは音が出ないようにしている。
10インチのフルレンジ2本で聴いていることになる。
このフルレンジ、ユニットとしては知られていないけれど、蝶ダンパーのせいか、いい音がする。
YouTubeにアップしました。
コントラバスです。
ダイナモの重きうなりの心地よさよーーーーーー です。
2012年11月03日
Garrard 301 フロート台座
お客様からGarrard 301の修理と、Deccaアームの装着のご依頼です。
301はすぐに直りました。接触不良でした。
なかなか良い音です。
自分のものですと、適当になってしまい、アースなどはつけないで済ませていますが、他人のものですとそうも行かず、正しく配線しました。
そのせいか、私のよりいい音がしています。
明日発送しますので、映像にとっておきました。
YouTubeで聴いてみてください。
Something elseの中の、短い曲を選びました。
レーベルからお分かりのように、レコードは米国製ですが再販です。
もう1曲、遠くからお店に見えられたお客様からいただいたクラシックレコードの短い曲です。
小池レコードで購入されたそうです。