2012年01月
2012年01月21日
砥の粉
砥の粉を塗るたびに、思うのである。
誰が考え出したのだろう。
考え出したものがいるとしたら、世紀の発明、まさに天才である。
美しく仕上げることを目的にする塗りの作業の途中で、泥を塗って汚すのである。
なかなか思いつくものではない。
たぶん事故があったのである。
文箱かなんかを作り、塗りの作業に入る前に、けつまずいて文箱を落としてしまった。
悪いことに、雨の後で道はぬかるんでいた。水溜りもできている。
きれいに作った文箱も泥にまみれてしまった。
ここでもう一度最初から新たに作っていたら、世紀の大発見はなされなかった。
この職人、不真面目なのか、納期に間に合わなくなってしまうと思ったのか、泥をよくぬぐい乾かして、塗ってみたのである。
不思議なことが起こった。
いつもよりきれいに仕上がったのである。
これが塗りにおける世紀の大発見の真相ではないかと私は推測しています。
いかなる天才も、きれいにすることを目的とする作業において、一度汚す作業を入れると論理的に考えつく者はいないのではないかと、私は思うのです。
それを考えつくのが、天才の天才たるゆえんかもしれませんが。
まあ、けつまずいたんでしょうね。
2012年01月13日
Leak TL/10 オイルコン電源
お客様が聴きたいとおっしゃるので、Leak TL/10の電解コンデンサーをオイルコンに換えました。
作業のほとんどは台座作りに費やされます。
それもほとんどが、塗りの作業です。
砥の粉を塗り、一日乾かし、ペーパーで磨いて塗る。
あとはペーパーで磨いて塗るを全部で4回やります。
塗ったら、一日乾かしますから、最低5日はかかります。
ちょっとくたびれました。
TL/10は、LeakのフラグシップともいえるTL/12の廉価版です。
TL/12は、電源部にオイルコンを用い、その音のよさで人気があります。
TL/10はTL/12のデザインを踏襲して、まるでオイルコンのような箱型のケースを作り、電解コンを入れています。
電源トランスと出力トランスの間にある黒い箱がそれです。
出力管はGEC製のKT61(前列右端2本)。

オイルコンはすべて英国製ですが、同じ製品が常に手に入るわけではありませんので、 たまたま手に入ったものでまかなっています。
今回はモノラル2台でステレオにしておりますので、ペアーになるよう同じ部品で構成しました。

電源部をオイルコンに換えたLeakアンプは、太い上に品格を感じさせる音がします。