2011年07月
2011年07月20日
Leak VarislopeⅡ モノラルプリアンプ

綺麗なLeak VarislopeⅡモノラルプリアンプが手に入りました。
極端にレアなものではありませんが、古いタイプのVarislopeⅡは後の製品ほどには流通しておりません。
特に綺麗な製品は少なくなっています。
旧タイプのVarislopeⅡは以降のプリアンプと音は変わらないながらも、LeakのフラグシップTL/12用のためか、作り、部品共に最高級の製品です。
同じゴールドのプリアンプPoint Oneが10ポンドだったのに対し、VarislopeⅡは16ポンドもしました。
LPの移行期だったのでしょう、イコライザーの規格は統一されていませんでした。
VarislopeⅡは、NARTB,AES,RCA ORTHO,COL.LP,BRIT.LPの5種類の規格に対応しています。
Leakのプリアンプとしては最も多い選択肢です。
この製品以前のTL/12用Varislopeプリアンプは、双三極管ECC81 1本で、イコライザー、トーンコントロール部をまかなっていました。
ゲインがあまり取れなかったのだと思います。
VarislopeⅡは、EF86 2本を5極管接続で用い、大きなゲインを稼いでいます。
現在でも、レコードを聴くに充分な音量が出ます。
この時代、信号入力用部品の規格は統一されていなかったらしく、RCAピンジャックは付いておりません。

上の写真のような穴が開いております。プリアンプの上に載っているのが当時使われていたジャックです。
使いにくいですので、下の写真のようにRCAピンジャックに交換しています。
これはVarislopeⅢ以降に使われているRCAピンジャックと同じものです。

オリジナルの内部画像を載せておきます。

オイルコンは以降のVarislopeⅢと同じものが使われておりますが、抵抗の外皮が陶器(セラミック)になっております。
真空管アンプの最終機種VarislopeⅡにもこの抵抗が使われていました。
2011年07月02日
Carbon Rod Resister その2
引き続き、お客さんのTL/10をオーバーホールしています。
明日引渡しです。
おきゃくさんのTL/10は、後期に作られたものらしく、私の所有しているTL/10とは、少々異なっています。
位相反転段の真空管は6SN7が使われています。
双三極管のそれぞれのプレートに、57kΩ、68kΩの抵抗を介して、電力が供給されます。
57kはお客さんのも私のも前回紹介したカーボンロッドが使われています。
68kが異なるのです。
57k、68kの抵抗により、音がかなり左右されることが分かりました。

上の画像の一番下が私の所有するTL/10についていたカーボンロッドレジスターです。
青、灰、橙と読めますから、68kΩです。
真ん中の小さい抵抗は、お客さんのTL/10についていたものです。
明らかにオリジナルと思えるのに、回路図とは値が違っています。
最初、灰、赤、橙と読みましたが、そうではなく紫、赤、橙の72kΩのようです。
ちょっとこの抵抗は寂しいので、お客さんのTL/10をカーボンロッドに替えました。
音はかなり良くなりました。
こんなに変わるならと、他の抵抗でもやって見ました。
それが画像一番上のカーボンコンプ抵抗です。もちろん中古です。
大きい抵抗を使ったのは、小さいものより経年変化が小さいからです。
この3種類の中で、この抵抗だけが、まともな値を示しています。
橙、白、橙ですから、39kΩ。直列で78kΩ。
下二つも78kΩ近くの値です。
67kや72kが78kですから、だいぶあがっています。
私が一番良いと思ったのは、このカーボンコンプです。
音に厚みがあります。
カーボンロッドは、より柔らかい音です。
この辺は好みかもしれません。
抵抗値より、抵抗の種類で、音は決まっているように感じます。
明日お客さんが見えたら、聞き比べていただき、好みの抵抗をお付けしようと思っています。
まあ、もともと付いていた真ん中を選ばれることは無いでしょう。最もつまらない音です。
木曜、金曜と、別々のお客様がいらっしゃいました。
ちょうど良かったので、聴き比べていただきました。
木曜のお客様には、カーボンロッドから、画像一番上のカーボンコンプへ。
金曜のお客さんは、真ん中の小さなやつから、一番上のカーボンコンプへ。
お二人ともその違いにびっくりされていました。
特に金曜のお客さんは、あまりにも違っていることに衝撃を受けられていました。
多分このような経験は初めてのことだったのだと思います。
抵抗でこんなにびっくりされるのですから、コンデンサーをフィルムコンから、オイルコンに換えたときの音の違いを体験されたら、どんな顔をされるのでしょうか。
さて一夜が明けて、引渡しの日です。
お客様が選ばれたのも、一番上のカーボンコンプ抵抗でした。
お聴きになってすぐ、こちらのほうが重心が低いとおっしゃいました。
その通りだと思います。