2011年06月
2011年06月28日
Carbon Rod Resistor
お客様のLeak TL/10をオーバーホールしていました。
これまでは全ての抵抗を交換していました。
ちょっと気になったことがあります。
位相反転段に使われている抵抗が、あまり見かけないものです。

一番下が、TL/10に使われています。
LeakのフラグシップともいえるKT66をパワー管に使用したTL/12で多用されていたのと同じ抵抗です。
ここだけわざわざ古い抵抗が使われていることに何か意味があるのかもしれません。
抵抗値は少々狂っていますが、我慢して音を聴いてみることにしました。
良い音です。
残すことにしました。
おそらく、当時新たに販売されたカーボンコンプの抵抗より、良い音がしたからここだけは古い抵抗を使ったものと思われます。
その構造について考えて見ました。
あるサイトにカーボンロッドレジスターと書かれてありました。
後の製品のように、Rod(棒)にカーボンを薄く塗ったものではなく、Rod自体が抵抗なんだと思います。
作り方を推測しました。間違っているかもしれません。
カーボンと抵抗の高い物質を混ぜ合わせ棒にします。
その混合比で抵抗の値が決まります。
両端にリードを付ければ抵抗が出来上がりです。
抵抗を測りながら、リードをつける位置を決めていたかもしれません。
手作りでしょう。
主に1940年代に作られたもののようです。
カーボンコンポジション抵抗の御先祖に当たるのではないでしょうか。
それにしても一番下のカラーコードが綺麗です。
緑、紫、橙と読みます。
57KΩです。
2011年06月12日
ブレークスルー 電解コンデンサー
Leak Stereo50のオーバーホールをしていた。
全ての部品の付け替えが終わり、音を聴いていた。
何なのだろう、今までになく音が良い。
今までのオーバーホールとの違いを考えた。
電解コンデンサーだけが違う。
今までは、整流回路の電解コンデンサーは手を付けないようにしていた。
なるべくオリジナルのブロックコンデンサーを使い、換えられているものは、そのまま使うことにしていたのである。
電解コンでの音の違いはあまりないと思っていた。
今回のStereo50は、英国で部品交換が行われており、カップリングコンデンサーは、いつものようにオイルコンが取り払われ、安物のフィルムコンに換えられていた。
もちろん全て絶縁抵抗のしっかりした当時のオイルコンを使って交換した。
抵抗もすべて交換し、MT管も新しいピンに交換した。
ここまではいつものオーバーホールである。
さて、今まで手を付けないようにしていた電解コンデンサーに問題が起こったのである。
Stereo50の電解コンデンサーは交換されていた。
使用されていないオリジナルのブロックコンは残したまま、シャーシの下部に今様のコンデンサーがつけてある。
良いのだけれど、耐圧が低すぎる。安物のメーカー製でもある。
仕方がないので、手持ちのBC(Philips)に交換した。
別に音のためではなく、苦肉の策として交換した。
変だ、今までになく、音が良い。それもとびきり。
始めのうち、このStereo50、特別音が良いのかと思っていた。
電解コンで音が驚くほどよくなるなど、思いもしなかったのである。
こうなると、手持ちのTL25plus(Stereo50のモノラル版)の音がみすぼらしく思えてきた。
比較しないうちは、良い音であると思っていたのにである。
TL25plusとStereo50の違いは、前段の回路の構成にある。
TL25は、EF86とECC81 1本ずつ、Stereo50は、ECC83 3本。
この違いも音に影響しているのかと思ったりした。
TL25のブロックコンデンサーは、英国製の名の通った良いものに交換してあった。
ここで、あまり期待は出来ないけれど、電解コンを同じBCブランドに交換してみることにした。
この電解コン、形態はスナップインタイプである。
今の電解コンは、小さく出来ているから、シャーシ内部に入れ込むのは簡単である。
交換は、整流回路(π回路)だけである。
やはりブロックコンはそのままにして、BCの電解コンをいれた。
音を聴いた。
これではっきりした。
前段の構成の違いではなかった。
電解コンデンサーの違いだったのである。
TL25が息を吹き返した。
少なくともStereo50と同様に良い音になった。
勢いに乗って、TL10も交換してみることにした。
音に関して、もっとも問題があると感じていた機種である。
現行のイタリア製モータースタートオイルコンを真空管で整流された直後に入れていた。
この部分のオリジナル電解コンは壊れやすく、たいがい駄目になっている。
手持ちに良い電解コンがなく、オイルコンのほうが良いだろうと思って入れたものであった。
もしかして、換えればよくなるかもしれないと思い始めたのである。
全てをBCブランドに換えた。
すばらしい。
全てのなかで最も好みの音で鳴ってくれた。
電解コンでこんなにも違いがあるとは驚きである。
以前お客さんが、「今の日本製電解コンはいいですよ」と仰っていたのを思い出した。
もしかしたら、日本製の現行電解コンでも良い結果を得ることが出来るのかもしれない。
常連のお客さん、音を聴いて「日本製電解コンで試してみる」と云っていらしたので、結果が出たらお知らせします。
古いものと新しいものとを比較すると、音に関する限り、古いものの方が良いことがほとんどです。
今回は違いました。電解コンは新しいものの方が良いようです。
人間固定観念にとらわれると、うまく行かないことが多いものだと再認識しました。
固定観念を捨て、試してみると意外なブレークスルーがあるものですね。
2011年06月04日
確認書
今回の不信任劇はよく分からない。
取り交わされた確認書を読み上げられるのを聞いて、時期も明確でないこんなもので、流れが変わるとは到底思えなかった。
変わったのだから不思議である。
小沢一郎も含めて、不信任案に賛成する覚悟はできていなかったとしか思えない。
あんな内容のない確認書に飛びついた政治家たちは、負けたのだと自覚していたはずである。
おそらく、彼等は不信任案に賛成することをちらつかせることで、菅首相はやめると踏んでいた。
やめないから、自分たちが困ったのである。
あるいは、不信任案に賛成する人数が足りなかった。
どちらにしても、明確に負けを認めることが出来ないから、あんな確認書に飛びついただけのことである。
誰かが、「こんな確認書はまやかしだ」といっていたら、何の影響力も持ち得ないような内容である。
それを言う人はいなかった。
鳩山さん以外は、こうなることが理解できていたはずである。
政治家なら、それぐらいの推理力は働くでしょう。
彼らにとって、渡りに舟だったとしか思えない。