2010年03月

2010年03月26日

食事

 
人は食事を摂る。


美食の人もいる。

味にうるさい。


腹がへるから食べるだけの人もいる。

私はこれに近い。

食事を摂るのが面倒である。

一日2食になってから、40年以上になる。

問題はない。

おかずは1品でよい。昔から小食である。


中学生の時、国語の教師が言った。

「科学が進んで、食事の替わりに数粒の錠剤になったら、味気ないと思うよ」

私は思った、「そんなもんか」

「確かに味気ないかもしれないが、面倒がなくていいや」


主婦は、よく三度三度の食事を作れるもんだと、感心していた。

俺には到底出来ない芸当だと、思っていた。

いまは、主夫になっている。

母が介護を必要とするようになって、三度三度の食事を作っている。

主婦がなぜ、面倒な食事作りに耐えられるかが分かった。

食べてくれる人がいるからである。

一人だったら、作れるもんじゃない。


さて、0時を過ぎたから、昨日のことである。

仕事から帰り、買い物をして、食事を作っていた。

酢豚である。

ひどく簡単なものである。

まあ組み立てキットのようなものだ。

たまねぎを刻み、具材と共にいため、液体を加えてさらにいためれば出来上がる。
 
私のようなずぼらな人間には、もってこいのキットである。


さあ、出来た。

食べるために机に置き、台所に戻り、ご飯をよそおうとした時である。

炊飯器を見た。

う!

ランプが点いてない。


もしや。

蓋を開ける。

やっぱり。


米が水に沈んどる。

うーん、やってしまった。

昨夜、スイッチを入れ忘れたのである。

2度目だ。


スーパーに走った。
 
飯を買うのだ。



gtkaudio at 02:10|PermalinkComments(0)友人列伝 

2010年03月18日

音にとっての技術の進歩

 
1950年代60年代はオーディオのゴールデンエイジと呼ばれています。

現在のオーディオマニアでさえ、この当時に作られたビンテージのオーディオ機器を使っている人が多いのをみても、この言葉が嘘ではないと分かります。

Garrard301,Thorens124等のターンテーブル,マッキンマランツの真空管アンプ、アルテック、タンノイのスピーカー、人気のあるのは、ほとんどがこの当時に作られたものです。

これらのものが、骨董的価値で購入されているわけではありません。音の良さで購入されているのです。

現代の技術をもってしても、これだけの音の良い製品を作ることが出来ないのです。



このことは、アンプなどの完成品に限らず、そこに使用されているひとつひとつの部品にも当て嵌まります。

というより、ひとつひとつの部品が、音を第一に考えて作られているため、それを集めて製造されたアンプの音が良いのです。

それらのアンプに、現在製造されている部品を使うと、経験上必ずといっていいくらい音が悪くなります。

フィルムコンで交換されたLeakを聴くと、オーディオファイルが求める、もっとも大切な部分が再生されないつまらない音になってしまいます。



それなら、技術の進歩をどう捕らえたらよいのでしょう。

私は次のように考えております。

この時代、音の良い部品を作ることが直接その会社の利益に結びついていたのです。

その時代の人々の良い音への欲求は、現代では想像できないほどに強かったのだと思います。

良い音を作り出すことに関わった人々は、その当時の最先端技術に関わっていたのです。

多くの部品メーカーがあり、良い音の出る部品を作ろうと鎬を削っていたのでしょう。



60年代から徐々に、映像が技術の最先端になって行きます。

音など比較にならないくらい、テレビは全ての人たちの憧れとなって行きます。

そのための部品の供給に、部品メーカーの浮沈をかけた競争が激化します。

あっという間に、英国の部品メーカーは、大資本に吸収されてしまいました。

良い音の部品を作ることが、商売にはならない時代がやってきたのです。



音は最先端ではなくなったのです。

こういう時代に、日本のオーディオ製品が世界を席巻するのですから、現在ビンテージの名機として世界に轟くような日本のオーディオ製品がほとんどないのも当然です。

悲しいことですが、音を追及した時代が過ぎ去ったあとに、日本のオーディオは世界市場に登場したのです。

現代は、どこの国も、将来世界の名機になるオーディオ製品を作ることが出来なくなっています。

音を主体にした部品ではないのですから、これもまた、当然のことです。



音を良くするための部品を作る技術は、60年代に確立され、そのほとんどが継承されることがありませんでした。

特に英国では、部品メーカーはほぼ全滅に近い状態になっていました。

環境問題による規制のため、製造に使用できる原料の制約が、良い音の出る部品を作ることを困難にさせたとも云われています。

しかしながら、そのことより、良い音のための部品を作ることが、主役ではなくなってしまった(利益を生まなくなった)ことが大きいと思います。




ある時期から、技術は、どれだけコンパクトに出来るかを追求し始めました。

小さくかつ安く作れるようになるということは、大きな進歩です。

小さくて、以前の機種より音は少し劣るが、その差は小さく、何はさておき以前の機種よりも安い。

これが技術の進歩です。

音を主体とした進歩は、60年代で終わったと考えています。

技術の進歩は、その時代にマッチした分野の進歩でしかないのです。



音は、文化です。

性能の良い部品が、音の良い部品であることは、稀です。

良い音という、人間の感覚の世界、もっと言えば心の世界と共鳴しあうものを、値として明示してくれる測定器はないのです。



gtkaudio at 00:54|PermalinkComments(0)オーディオ 

2010年03月11日

オーディオマニアは音楽を聴いていないのか

「オーディオマニアは、音楽を聴かずに音を聴いている」との非難を何度されたことでしょう。

ただ、この言葉を云う人も、音楽の中の一部への偏愛に気づいてはいません。

リズム感が好きであったり、メロディーが良いねといったり、ハーモニーがすばらしいと感じたりしているのです。

歌であれば、その歌詞に感動している人もいるのです。

音楽はその総合でしょうが、どれに偏向していようと、音楽に感動していることにかわりはありません。

その偏向によって好みの音楽ジャンルが異なってくるのではないでしょうか。



歌詞に感動するような奴は、音楽を聴いちゃいないと非難する人はいないはずです。

音も音楽の一部です。オーディオマニアは、その音の美しさを偏愛しているだけなのです。

ですから、音楽を聴いていないという非難は、的を射ていません。

このような非難をする人たちは、芸術的と一般に認められているクラシックやジャズを偏愛する人たちに多いのは、権威を笠に着ているようで厭ですね。

私ですか、何でも聴きます。歌謡曲もね。

gtkaudio at 03:02|PermalinkComments(0)オーディオ 

2010年03月10日

Leakの真空管ソケット(ピン) その2

真空管ソケットについてしつこく書いている理由をお話します。

雑音を取り除くため、13ヶ所のピンを交換した、お客様のPoint One Stereoと、私所有のVarislope Stereoを、お客様と一緒に聴き比べていたのです。

お客様のPoint One Stereoは、全ての抵抗を取り替えたわけではなく、以前修理した人が数ヶ所の抵抗を取り替えてあっただけでした。

その抵抗も安いものが使われていました。

私のはといいますと、全ての抵抗を、音が良いといわれる高価なものを使って交換してありました。

コンデンサー(オイルコン)は、共に私が交換したものですから、同じものです。

それで聴き比べたのです。



当然、私のVarislope Stereoが良い音で鳴ると思っておりました。

違ったのです。

私のは、力強さでは勝っておりました。

しかしながら、音の伸びやかさ、その柔らかさ、ひとつひとつの音の余韻で、お客様のPoint One Stereoが勝っていたのです。

総合すると、お客様のほうが一段も二段も上でした。



私にとってショックなことでした。

自分が直したものに自信があったのです。

これはどこから来るかと考えました。



抵抗かと思い、お客様に持ち帰られたそのプリアンプを再び持ってきていただき、使われている抵抗の配置を写真に撮らしていただけるよう頼みました。

抵抗は私も持っている安物でしたので、その写真を元に、同じように配線してみようと思ったのです。


おいでいただく数日前に、ようやく見つけたオリジナルのソケットが届きましたので、ピンを取り替えてみる気になりました。

オリジナルのソケットを見て、もしかしたら、ピンかもしれないと思ったのです。



ズバリでした。

伸びやかで、柔らかく、音に余韻があります。

ピンがこれほど音質に影響するとは。

本当にやってみないと分からないものです。



手持ちのポイントワンステレオも同様に直しました。

同様に格段に良い音になりました。



お客様との約束の日になりました。

聴き比べてみました。

力強さがある分だけ、私のプリアンプのほうが良いように感じました。

お客様も、家で聴いてみたいとおっしゃいます。



今あるPoint One Stereoは、他のお客様の試聴用においておきたいので、別のを直してお貸しすることにしました。

何度もご足労いただきましたが、お好みの音が鳴っただけにお客様も満足しておられるようです。

このお客様のPoint One Stereoには苦労しましたが、多くの得るものがありました。

オリジナルのソケットに固執されるのには、私も困りました。

しかし、固執していただいたおかげで、オリジナルを残す方法を研究できたともいえます。

お客様に感謝です。



現在は、英国製オイルコンで交換するだけでなく、抵抗、MT管ソケットのピンも交換しております。

オーバーホールと呼んでも良いと思っております。

gtkaudio at 06:31|PermalinkComments(0)オーディオ 

2010年03月08日

Leakの真空管ソケット(ピン)

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

以前のブログで、Leakのプリアンプに使われているソケットのピンを、部品取り用のアンプから取り出し、交換することで、音質が大きく改善したことを書きました。

それで、オリジナルで使われているソケットを探しました。

実はずいぶん前から探していたのです。

なかなか見つからず、苦労しましたが、ようやく手に入れました。



全てのMT管ソケットのピンを、新品のピンで交換すると、音質が格段に改善します。

こんなにも違うものかと、驚くほどなのです。

それも、音好きの人たちが追い求める、伸びやかで柔らかく、且つ太い音がします。

同時に抵抗も換えていますから、太い音は抵抗のせいかもしれません。



私は店をやっており、お客様はオリジナルであることをお望みになられる方が多いですから、オリジナルのNOSをどうにかして探しますが、自分用だったらピンを交換するなどと面倒なことはしません。

良さそうな9ピンソケットで、全部交換します。

Leakに限らず古いMT管のソケットは、交換したほうがよいですね。

または、真空管の脚と接触する部分を、よく磨けばよいのかもしれません。

ただ、脚を締め付ける力を失っていると、磨いても駄目です。



さて写真ですが、Leakのプリアンプに使われている2種類のピンです。

上にあるのが、古い時代のプリアンプやVarislope Stereoに使われているサスマタのようなピンです。

シンプルで、丈夫です。

他のメーカーの古い英国アンプにもよく使われていました。

左2個がアンプから取り出したもの、右2個はNOS(New Old Stock)です。



下のピンは、新しい時代のアンプに使われたピンです。

なぜ急に変わったのか分かりませんが、音が良かったのかもしれません。

Point One Stereoに使われています。

耐久性が劣っているように思われます。

音が出なくなったりするのはこのタイプが多いです。

音が出ていても、接触が悪いため、音に影響が出てしまいます。

お客様の場合は、店で良く鳴っていても、持ち帰ると雑音が出るという状態でした。



こちらのピンをNOSに交換すると、一段も二段も良い音になります。

雑音がなくなるのは当然です。

予期していなかったことですが、音質まで改善されるのです。

中古アンプの調整には、ソケットの交換は必須であるように思われます。

gtkaudio at 19:55|PermalinkComments(0)オーディオ