2009年02月

2009年02月14日

Leak TL/12とRC/PA/U,VarislopeⅡプリアンプ

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現在修理中のLeakのフラグシップTL/12と専用プリアンプRC/PA/U,Varislope兇2台です。

TL/12はプリアンプへの供給電圧が、他の機種より高く設定されています。300Vかそれ以上になります。

その電圧に見合うプリアンプは少数で、RC/PA, RC/PA/U, Varislope, Varislope兇4台です。

GoldのPoint Oneプリアンプは160Vを、それ以降のほとんどのプリアンプは180Vを供給されることを想定して設計されています。

TL/12のテスト用に4台以外のプリアンプを使うことは出来ますが、常時使う場合は、抵抗を変更し電圧を低くする必要があります。

4台の専用プリアンプの中で最初期に作られたRC/PAは、高出力カートリッジ用で、MM型カートリッジを鳴らすことが出来ません。以降は入力感度に違いはありますが、鳴らすことが可能です。



現在修理中のアンプの真空管構成は、

TL/12    EF36, ECC33, 2x KT66, GZ32
RC/PA/U  ECC40 1本
Varislope供EF86 2本

です。

修理を依頼されたお客様は、以前にもTL/12の修理を依頼され、今回この2台目を手に入れられたそうです。ステレオでお聴きになる予定です。

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2009年02月02日

Leakコンデンサー交換の依頼 その2 Stereo20

Stereo20の8個のコンデンサーを全てオリジナルのオイルコンに交換しました。

たいした作業ではありませんでしたので、一日で終わりました。



これで大丈夫だと思っておりました。

数日して、お電話を戴きました。

通電して、2時間もすると、プツプツと雑音が出るようになったとのことです。

その場では、見当が付きませんでしたので、もう一度修理すると約束して、週末にもって来て頂くことにしました。



あとから次第に分かってきました。

Stereo20には、原始的な保護回路があります。

整流回路の100Ωの抵抗に過電流が流れたとき、抵抗による発熱で半田が溶け、抵抗がラグから外れるように設計されています。

B電源を遮断し、トランスの断線を回避しています。

半田が溶け始めたとき、プツプツと雑音が出ることがあるのを思い出しました。



お客様に電話し、電源電圧を定格よりも下げて試していただきました。

今度は5時間ほど通電すると、同じ症状が出るそうです。

やはり半田が溶け始めています。

原因は分かります。

オリジナルのオイルコンはNOSですが、どうしても劣化しています。

直流電流が流れてしまっているのです。



高価ですが、絶縁抵抗が2,000MΩ以上あるオイルコンを使うしかありません。

お客様に相談し、修理代金を、ほんの気持ちだけ上げていただきました。

最初からこちらのコンデンサーに決めていたときよりは安い設定ですから、お客様にとっても損はありません。

以前はなかった絶縁抵抗2,000MΩ超の0.25uFも手に入りました。

高音のきつさもなく、すばらしい音です。



お客様、修理のStereo20ばかりでなく、TL10モノラルアンプ2台もお持ちになり、全部のコンデンサーの交換も依頼してくださいました。

信用していただけたようです。

お客様のところで聴くアンプがなくなってしまいますので、私のStereo20とプリアンプをお貸ししました。



自宅で、私のStereo20とプリアンプをお聴きになり、電話でプリアンプの修理も依頼してくださいました。



現在、Stereo20とTL10はお客様の自宅で鳴っております。

Stereo20のプツプツも出ないそうです。

大変満足されているとのことでした。

依頼のプリアンプは今日コンデンサーの交換が終わり、店に帰ってきた私のStereo20でテストの最中です。



今回のお客様は、音をこよなく愛されていることがこちらに感じられて、私もお好みの音に近づけようと一所懸命になりました。

最終的には、私が良いと思っていた修理になり、うれしかったです。



明日からは、別のお客様のTL12とプリアンプ2台のコンデンサー交換になります。

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2009年02月01日

Leakコンデンサー交換の依頼

近頃、ブログをご覧になられたお客様から、Leakの信号系コンデンサーの交換を依頼されることが多くなりました。

今回ご紹介するお客様は、初めにLeakの自作インターコネクトケーブルをお買い上げいただきました。

さらに、Point One Stereoの片チャンネルが出なくなったので修理してほしいとのことでした。

このような故障のほとんどは、簡単に直るものです。

その場で直すことにしました。

直らなかったら置いていってもらうことになります。



まずは真空管試験機で、4本のEF86をチェックしました。

4本ともスクエアーゲッターロングメッシュのMullardですから、大変良いものです。

1本が完全に死んでいました。ストックしてあるまったく同じEF86を購入していただき、修理が終わりました。



店のVarislope StereoとStereo20を聴いていただきました。

お好みの音と比べると、高音が出すぎると感じられたようです。

高音が抑えられて、中音が張り出すような音がお好みだそうです。

その時はVarislope,Stereo20とも、最終段0.25uFを絶縁抵抗のすばらしいTCCのオイルコン05uFに換えてテストしていました。絶縁抵抗の良いものはこの値しかなかったのです。

音は力強く、情趣をも表現してくれて良いのですが、確かに高音がきつく出るきらいがありました。



Point One Stereoの修理も終わりましたし、店の音もお好みではないご様子でしたので、お取引もこれで終わりかと思っておりました。



ところが、1週間ほどして、お電話をいただき、Point one Stereoの修理しなかったほうのチャンネルで、雑音が出るので修理してほしいとのことでした。



その場で直ったとしても、少々の修理代金を戴くと申しあげて、納得していただきました。

実は、前の修理では修理代金を戴かなかったのです。これではまずいと思っておりました。



まず、真空管の脚を磨きました。

これだけでした。これで直りました。

修理なんてものは、こんな簡単なものがほとんどです。



Stereo20のコンデンサーの交換も依頼していただきました。

この前の試聴では、お気に召さないご様子でしたが、その音が耳に残っていて、音にコクがあると感じられたそうです。

この言葉を聴いたとき、ああ、分かってくださる方がいるのだと、うれしくなりました。



オーディオは、ハードはまったく理系のものですが、音自体は文系が扱うものです。

音の良さの本質は、情趣とか、柔らかさとか、力強さとか、測定器では計ることの出来ない所にあると、私は思っております。

論理的に説明することは出来ませんから、感じていただくしかありません。

お客様の仰られた「コク」という言葉が、ピタリと当てはまる部分です。

まさに文学的に表現するしかない存在です。

コンデンサーをフィルムコンで交換してしまうと、歪や雑音はなくなりますが、この最も大切な部分までがなくなってしまうのです。

日本だけでなく、英国でもそうですが、修理といえば、現在安価に手に入るフィルムコンでの修理になってしまっている状況は、大変残念なことです。



さて、Stereo20のコンデンサーの交換についてです。

お客様のStereo20は、ロシア製のオイルコンと、国産のフィルムコンが使われていました。

これでは良い音が出るはずがありません。

高価ですが、絶縁抵抗のすばらしい英国製オイルコンで交換することをお勧めいたしました。

お客様は、高音のきつさが気になっておられたようです。

結局、LeakオリジナルのTCCとPlessey(TCC製)で交換することになりました。

LeakオリジナルのTCCやPlesseyは、NOSであっても劣化が激しく、絶縁抵抗が良くて100MΩです。

ちょっと残念な気がしましたが、お客様のご要望通りにいたします。

交換後、後日取りに来ていただくことにしました。


続きはまた書きます。

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