2008年06月
2008年06月26日
Leak TL/50 モノラルアンプ
お客様のご要望で輸入しました。KT88プッシュプル仕様の50Wメインアンプになります。
Leakのアンプの中では最もハイパワーで、珍しいものですので公開いたします。
KT88は、一方にGECのペアー,もう一方にはGold Lionのペアーが使われています。
EF86の1本が、Philipsになっておりますが、他のECC83,GZ34の全てがMullard製です。
ほとんどのコンデンサーが、交換されています。
特に、信号系のコンデンサーのオイルコンがMullard Mustardに換えられています。
英国のレストアですと、これでも良いほうです。
ロシア製のオイルコンで交換して、高額のレストア代をとっているようです。
2008年06月18日
ガラード(Garrard)301のトルク改善
驚くほどにトルクが改善していました。
回転中、指で触れてもかなりの力を加えないと止まりません。
「回転がちょっと弱かったから、試してみたんだ」
他人のものを良くやるなと思いましたが、実際に改善されているのですから文句はありません。
彼にはある程度自信があったのでしょう。
彼はかつて生録をやっていたそうです。
キャプスタン(ピンチローラー)の清掃に四塩化炭素を使っていました。
四塩化炭素は、現在オゾン層を破壊する関係で製造が禁止されています。
彼は昔購入した四塩化炭素の残りをほんの少し持っているのです。
彼によると次のようにしたそうです。
(1)四塩化炭素を布に付け、プラッターの内側のアイドラーが接触する部分を3回転ほど拭きます。
(2)アイドラーも、プラッターに接触する部分を同様にして拭きます。
(3)プラッターを装着し、30分ほど回転させます。
拭いてすぐは回転は強くなりません。30分ほど回転させているうちに強くなっていくそうです。
コツは、べたべたにしないことです。
さて四塩化炭素は現在手に入りませんから、代わりを探さなければなりません。
友人は過去のつながりから、情報を仕入れてくれました。
現在、キャプスタンの清掃にはイソプロピルアルコールが使われているそうです。
キャプスタン清掃用に売られているものより、純粋なものの方が良いと言っていました。
そこで、私の店の近くの昔ながらの薬屋さんに相談すると、探してくれるとのことでした。
ありました。99.0%のイソプロピルアルコールが手に入りました。1,000円ほどでした。
早速、イソプロピルアルコールで試してみました。
四塩化炭素と同じことを、やってみました。
うまく行きました。
四塩化炭素ほどではないにしても、かなりの改善が認められます。
以上のことは半年前に行ったことです。
半年経って、問題が起こらないようだったらブログに書くよと、友人に承諾を取っていました。
ですから、半年と3日経過したとき、突然アイドラーがボロボロになってポトリと落ちるかもしれません。
その辺は責任がもてません。
回転が弱くて、捨てても良いと思っているアイドラーをお持ちの人には良い方法かと思います。
ちゃんとしているアイドラーではやらないほうが良いです。
気をつけなければならないことは、機構部分にイソプロピルアルコールを垂らさないことです。
軸等にたれると、油分が一瞬のうちに失われます。
試す際には、あくまでも自己責任でお願いします。
イソプロピルアルコールはゴムを溶かします。
30分ほど回転させているうちに徐々に回転が強くなるのは、アイドラーから溶けた微量のゴムが、プラッターの接触面に付き、滑ることが無くなるからかと推測しております。
四塩化炭素をイソプロピルアルコールに替えて手順を書きます。
(1)イソプロピルアルコールを布に付け、プラッターの内側のアイドラーが接触する部分を3回転ほど拭きます。
(2)アイドラーも、プラッターに接触する部分を同様にして拭きます。
(3)プラッターを装着し、30分ほど回転させたままにしておきます。
以上です。
2008年06月04日
手仕事
90歳になる母親が、古い毛糸を使い編み物をしています。
何かを作り上げようという気持ちはありません。
編んではほどき、ほどいては編みを繰り返しています。
「新しい毛糸を買ってくるから、何かを編んだら」と私。
「いいの、指を動かしているだけで」いつものように、母親。
私には母の気持ちが良くわかるから、これ以上はいいません。
遺伝でしょうか、私も手仕事をしていると、何もかも忘れます。
何もかも忘れるという表現は、正しくありません。
常に何かを考えています。考えながら、半田付けに集中しています。
正座をして、中古アンプの部品の半田を取り、新しい部品に交換する。
直し始めて、次に顔を上げたとき、5時間が経過していたなどざらにあります。
「俺はおかしいのか」とも思いますが、私にとって、なんとも、至福の時間です。
かつて家が貧しかったころ、母は和裁の内職をしていました。
近所の人や、和服を売る知り合いに頼まれて、毎日のように晴れ着だ、大島だと高価な和服を縫っていました。
それも、ほぼ一日中です。
時々針が畳に落ちているのは困りものでしたが。
和服の高価さに比べて、縫い賃は知れたものでした。
貧しいから、縫い仕事をしているものとばかり思っていました。
違いました。縫うこと自体が楽しかったのです。
母にとっての至福の時だったのです。
人の喜びはさまざまです。
レジャーだ、旅行だ、スポーツだ、みんなが楽しいと思うことがさっぱりの人間もここにいます。
手仕事、音、本、これらで充足してしまう人間もいるのです。
何かを作り上げようという気持ちはありません。
編んではほどき、ほどいては編みを繰り返しています。
「新しい毛糸を買ってくるから、何かを編んだら」と私。
「いいの、指を動かしているだけで」いつものように、母親。
私には母の気持ちが良くわかるから、これ以上はいいません。
遺伝でしょうか、私も手仕事をしていると、何もかも忘れます。
何もかも忘れるという表現は、正しくありません。
常に何かを考えています。考えながら、半田付けに集中しています。
正座をして、中古アンプの部品の半田を取り、新しい部品に交換する。
直し始めて、次に顔を上げたとき、5時間が経過していたなどざらにあります。
「俺はおかしいのか」とも思いますが、私にとって、なんとも、至福の時間です。
かつて家が貧しかったころ、母は和裁の内職をしていました。
近所の人や、和服を売る知り合いに頼まれて、毎日のように晴れ着だ、大島だと高価な和服を縫っていました。
それも、ほぼ一日中です。
時々針が畳に落ちているのは困りものでしたが。
和服の高価さに比べて、縫い賃は知れたものでした。
貧しいから、縫い仕事をしているものとばかり思っていました。
違いました。縫うこと自体が楽しかったのです。
母にとっての至福の時だったのです。
人の喜びはさまざまです。
レジャーだ、旅行だ、スポーツだ、みんなが楽しいと思うことがさっぱりの人間もここにいます。
手仕事、音、本、これらで充足してしまう人間もいるのです。