2007年11月
2007年11月30日
Leak Varislope Stereoのコンデンサ交換
Leakのアンプを見てみますと、金属シールドのペパーインオイルコンデンサが多用されています。
このコンデンサは高価で、モウルドタイプに比べると耐久性もあるのですが、50年経過しているのですから劣化しています。
劣化の度合いを測定するには、絶縁抵抗を測定します。
今まで取り外したコンデンサを写真に示しました。3枚目の写真が今回交換したコンデンサです。
取り外したコンデンサの測定値はそのほとんどが1~10MΩを示します。
現代のコンデンサを測定すると、測定限界の2,000MΩを超えるものがほとんどです。
Mullard,Mustardコンデンサは古いものでも2,000MΩを超えます。
フィルムコンの測定値は良いものです。
Leakの音にはまり、本まで出してしまったオーストラリアのオーディオファイルも言っているように、劣化したこのコンデンサをフィルムコン等の新しいコンデンサに交換するとほとんど音が悪くなります。
ただし、私見ですがMustardの音はオイルコンに近く、これに交換すれば、違和感なく聴くことが出来ていました。
今まではMullard Mustardに交換するか、元のままで我慢して聴いているしかありませんでした。
Rogers Cadet靴妊リジナルの新品Mustardに交換すると、結果が良かったものですから、一度は新品のオリジナルオイルコンを入手して、その音を聴いてみたいと思っておりました。
ようやく0.1uFのオリジナルが手に入りましたので、交換してみました。
0.25uFはかつて大量に仕入れたプレッシーのメタルパックを使いました。
プレッシーはTCCを買収して、同じ商品をメーカーロゴを替えて販売していましたから、TCCと同じものです。メタルパックの名前もそのままです。
新品といいましても、1970年代までに作られたオールドストックですから、劣化しています。
20個ほど買って、値の良いものだけセレクトし、使用しました。
新品のときは、2,000MΩを超えていたのでしょうが、100MΩ近辺あれば良しとしました。
日本の製品では考えられませんが、英国製コンデンサはこんなもんです。
測定値と音は必ずしも相関しません。
日本製品が、測定値を追求したのに対して、英国製品は、何よりも音を追求して作られているように思っております。
このことは以前ブログにも書きましたので、過去のブログもご参照ください。
一箇所だけ、オリジナルとは異なるTCCのスーパーメタルパックを使用した箇所があります。
0.01uFの小さなコンデンサが使われておりましたが、これもカップリングコンデンサらしく、替えると大きく音が変わります。
他の小さなコンデンサでも試しましたが、結局これにすることにしました。音の静けさに優れているように感じました。
0.005uFをパラレルに入れてあります。
スーパーメタルパックは、セラミック(平たく云えば碍子)で封印してあり、絶縁抵抗がすばらしいものです。
同様に古いものにもかかわらず、パラっても2,000MΩを超えていました。
さて、その音ですが、まったく変わりました。
同様にコンデンサをオリジナルに交換したStereo20と組み合わせて聴いていますが、情緒感はそのままに、引き締まった音になりました。
一桁の絶縁抵抗から10倍以上の絶縁抵抗を持ったのですから、当然です。
引き締まった低音が出てきます。ボコボコするような低音とは無縁です。
トランペットから金属的な高音が出ているのですが、全くうるささを感じさせません。
Leakは英国で、熱狂的なファンを持っています。
当然と思いました。
このような音で聴いているのです。
友人が来て、昔の人はこんな音で聴いていたのかと驚いていました。
私が始めてマランツ7とマッキントッシュ275の組み合わせを聴いたとき、感じた驚きと同じです。
たぶんそのときのマランツ7もマッキン275も状態の良いオリジナルコンデンサを使っていたはずです。
バンブルビーとかブラックビューティーとか云われている有名なコンデンサです。
両方ともモウルドタイプですから、今となっては、オールドストックであっても絶縁抵抗の良いものを見つけるのは難しいかもしれません。
かつてこの組み合わせのアンプを販売していたショップが、これらのコンデンサの入手が困難になったため、店を閉じたという話を聞いたことがあります。
なんとも潔いショップもあったものです。このような話を聞くと、日本人も捨てたものではないとうれしくなります。
それほどコンデンサは音にとって大切な部品なのです。
コンデンサはアンプの心臓です。
昔の人たちは、100MΩどころか、2,000MΩ超のオリジナルコンデンサを容易に入手できたでしょうから、もっと良い音で聴いていたのかもしれません。
いつでも試聴は可能ですので、ご希望の方はご連絡ください。
GTKオーディオ 電話 03-6411-5115 携帯 070-6970-5115
2007年11月24日
友人 C
「ここは何処だ」
目覚めの時刻、半覚半睡の静かな朝に、隣の布団で寝ていた友人Cが叫びおった。
俺の家に決まっているだろうに、狂ったか?
つづけて、「私は誰」とは云わなかったので、大丈夫だろうが、うるさい奴だ。
服を着たまま寝ていたので、彼は起き上がるとそのまま何も言わず、血相を変えて出て行った。
変な奴だが、今日は飛びきり変だ。
昨晩遅く、本を読んでいると、突然酒を持って現れた。
彼は理学部なのに、珍しく酒が好きでした。
工学部の連中は浴びるほど酒を飲む奴が多いけれど、なぜか理学部は酒を飲むにしてもほろ酔い程度のほうが多いのです。
奴は浴びる口です。
山岳部の部長をやっていたから、そちらで鍛えられたのかもしれません。
以前、大学の巡見と呼ばれる実習に行った時、宿で風呂に入ったあと、浴衣に着替えて休んでいると、一升瓶と湯のみ2個を持って私の前に現れ、片膝をついて座り、何も云わずに湯飲みを差し出したのには驚きました。
たぶん教授たちの酒をくすねてきたのでしょう。
酒飲みはこうだから困ります。
判断を間違えれば、死者を出すかもしれない雪山で、部長として、右に行くか左に行くか選択を迫られる時の緊張感が好きだと語っていましたから、山岳部にいる時の顔は違っているのでしょうが、私たちの前では、苦みばしった立派な顔に似合わず、面白く変な奴でした。
山岳部は、1年、365日のうち250日程度は山に入っていると云っていましたから、山を下りて娑婆にいる時はリラックスタイムだったのかもしれません。
そうそう、ウルシの樹の生えた山で、ヤブコキをし、軍手をはずすことなく立小便をした部員のイチモツがどうなったかを、うれしそうに語っていたこともありました。
さて、奴が帰ってきました。
先ほどのあせった様子はなく、安堵した表情です。
「血相変えて、何処へ行ってきたんだ」と私。
「電話をかけてきた」と彼。
話に聞けば、昨日今日は、彼を除く家族全員が旅行で出かけ、彼は留守番だったそうです。
ちょっと羽を伸ばして、酒を持って私のところに来たらしい。
本当は昨日自宅に帰るつもりだったのです。
酒に酔ったまま寝てしまい、朝起きて自宅にいない自分に気付き、「ここは何処だ」につながったようです。
そんなことは知りませんから、てっきり泊まっていくものと思っていました。
「自宅に電話したら、呼び出し音がなっていたから火事になっていなかった」と安心した顔で云います。
火事を心配していたらしい。
こういう安心した顔を見ると、こちらも一言、云いたくなります。
「そうか、お前にはそういう風に見えるか。俺にはちょっと違って見える。さっきお前が電話した時のお前の家の様子を透視してみよう。おお、だんだん見えてきたぞ」
「焼け落ちた家はまだくすぶっているんだろう、煙が昇っているところもある。消火水のためか水蒸気も混じっている。どうしたことか、全てが焼け落ちているのに、電話台と電話器だけは無事みたいだ。すっくと立った台の上の電話のベルが鳴っている。ああ、たぶんさっきお前がかけた電話だな」
私は決して意地悪ではありませんが、このような冗談に、どのような顔をしたら良いのか困惑している相手の様子を見るのが好きです。
彼は半分笑って、そそくさと帰っていきました。
大丈夫、家は燃えていませんでした。
所詮、私の透視能力はこんなもんです。
目覚めの時刻、半覚半睡の静かな朝に、隣の布団で寝ていた友人Cが叫びおった。
俺の家に決まっているだろうに、狂ったか?
つづけて、「私は誰」とは云わなかったので、大丈夫だろうが、うるさい奴だ。
服を着たまま寝ていたので、彼は起き上がるとそのまま何も言わず、血相を変えて出て行った。
変な奴だが、今日は飛びきり変だ。
昨晩遅く、本を読んでいると、突然酒を持って現れた。
彼は理学部なのに、珍しく酒が好きでした。
工学部の連中は浴びるほど酒を飲む奴が多いけれど、なぜか理学部は酒を飲むにしてもほろ酔い程度のほうが多いのです。
奴は浴びる口です。
山岳部の部長をやっていたから、そちらで鍛えられたのかもしれません。
以前、大学の巡見と呼ばれる実習に行った時、宿で風呂に入ったあと、浴衣に着替えて休んでいると、一升瓶と湯のみ2個を持って私の前に現れ、片膝をついて座り、何も云わずに湯飲みを差し出したのには驚きました。
たぶん教授たちの酒をくすねてきたのでしょう。
酒飲みはこうだから困ります。
判断を間違えれば、死者を出すかもしれない雪山で、部長として、右に行くか左に行くか選択を迫られる時の緊張感が好きだと語っていましたから、山岳部にいる時の顔は違っているのでしょうが、私たちの前では、苦みばしった立派な顔に似合わず、面白く変な奴でした。
山岳部は、1年、365日のうち250日程度は山に入っていると云っていましたから、山を下りて娑婆にいる時はリラックスタイムだったのかもしれません。
そうそう、ウルシの樹の生えた山で、ヤブコキをし、軍手をはずすことなく立小便をした部員のイチモツがどうなったかを、うれしそうに語っていたこともありました。
さて、奴が帰ってきました。
先ほどのあせった様子はなく、安堵した表情です。
「血相変えて、何処へ行ってきたんだ」と私。
「電話をかけてきた」と彼。
話に聞けば、昨日今日は、彼を除く家族全員が旅行で出かけ、彼は留守番だったそうです。
ちょっと羽を伸ばして、酒を持って私のところに来たらしい。
本当は昨日自宅に帰るつもりだったのです。
酒に酔ったまま寝てしまい、朝起きて自宅にいない自分に気付き、「ここは何処だ」につながったようです。
そんなことは知りませんから、てっきり泊まっていくものと思っていました。
「自宅に電話したら、呼び出し音がなっていたから火事になっていなかった」と安心した顔で云います。
火事を心配していたらしい。
こういう安心した顔を見ると、こちらも一言、云いたくなります。
「そうか、お前にはそういう風に見えるか。俺にはちょっと違って見える。さっきお前が電話した時のお前の家の様子を透視してみよう。おお、だんだん見えてきたぞ」
「焼け落ちた家はまだくすぶっているんだろう、煙が昇っているところもある。消火水のためか水蒸気も混じっている。どうしたことか、全てが焼け落ちているのに、電話台と電話器だけは無事みたいだ。すっくと立った台の上の電話のベルが鳴っている。ああ、たぶんさっきお前がかけた電話だな」
私は決して意地悪ではありませんが、このような冗談に、どのような顔をしたら良いのか困惑している相手の様子を見るのが好きです。
彼は半分笑って、そそくさと帰っていきました。
大丈夫、家は燃えていませんでした。
所詮、私の透視能力はこんなもんです。
2007年11月17日
友人 B
友人Bはまじめな奴でした。
言葉は常に真剣で、考えて訥々と語るタイプでした。
冗談を言うことはありませんでしたが、こちらの冗談には反応してくれました。
常に冗談を云っている私に対しては、気楽さを感じていたのかもしれません。
時々私の家に来て、話をしていました。
その彼が、突然訪れて(当時の学生は電話もなく、突然訪ねるのが普通のことでした)、今精神科で治療してもらっていると言うのです。
正式の診断ではないかもしれませんが、ノイローゼ気味だったようです。
ごく軽いようで、医者には社交ダンスを勧められたそうです。
社交ダンスのような明るい雰囲気には、私同様なじめるはずのない奴でした。
私も先輩に連れられて、ダンパ(ダンスパーティー)に行ってみたことはありました。
一度で懲りて、二度と行ったことはありません。
合ハイ(合同ハイキング)も一度きりで十分でした。
合コンなどは参加したこともありません。
人には向き不向きと云うものがあります。
あの明るい雰囲気に映える男は、私たちドブネズミではありません。
ドブネズミには、暗がりで目を光らせているという大切な役割があります。
明るいところに出ることは死を意味します。
彼は、まじめですから、医者の助言どおり、せっせと練習に通っているようです。
話を聞いていると、医者の意図とは異なり、まるで修行僧のようでした。
たぶんは、自分より背の高い女性と、まじめに練習している姿が目に浮かびました。
ぎこちない足の運び、女性の足を踏んづけることもしばしばだと思います。
なんとも切ない気分になってしまいました。
ただ、医者のアドバイスですから、止めろとは言えません。
どうもこのまま帰すのは心配で、一人でいるとろくなことは考えないから、今日は泊まって行けと勧めました。
私のところは、友人たちがよく来て、泊まる奴も多くいましたので、布団は二組ありました。
彼も納得したらしく、泊まることになりました。
これが大失敗でした。
翌日、私が目を覚ますと、彼は机に顔を伏せて、座っていました。
驚いて、「どうした」と私。
泣きそうな顔で、「歯軋りが」と彼。
シマッタ、やってしまった。
何たる不覚。
友人たちから、何度となく私の歯軋りのことは聞いています。
朝起きて、私の歯軋りの文句を言うのです。
ただ最初だけで、次からは慣れるかあるいは覚悟が出来ているかするのでしょう、話にも上らなくなります。
何しろ生まれてこのかた、私は自分の歯軋りを聴いたことがないのです。
まったく、忘れていました。
その日は、一晩中眠ることが出来なかったのでしょう、青い顔をして彼は帰ってゆきました。
それ以降、病気が悪くなったとは聞きませんでしたし、普通の付き合いはしていました。
ただし、一度で十分懲りたのでしょう、私のところに泊まることは、二度とありませんでした。
彼は、生物科を卒業し、大きな大学病院の研究所に入ったと手紙をもらいました。
言葉は常に真剣で、考えて訥々と語るタイプでした。
冗談を言うことはありませんでしたが、こちらの冗談には反応してくれました。
常に冗談を云っている私に対しては、気楽さを感じていたのかもしれません。
時々私の家に来て、話をしていました。
その彼が、突然訪れて(当時の学生は電話もなく、突然訪ねるのが普通のことでした)、今精神科で治療してもらっていると言うのです。
正式の診断ではないかもしれませんが、ノイローゼ気味だったようです。
ごく軽いようで、医者には社交ダンスを勧められたそうです。
社交ダンスのような明るい雰囲気には、私同様なじめるはずのない奴でした。
私も先輩に連れられて、ダンパ(ダンスパーティー)に行ってみたことはありました。
一度で懲りて、二度と行ったことはありません。
合ハイ(合同ハイキング)も一度きりで十分でした。
合コンなどは参加したこともありません。
人には向き不向きと云うものがあります。
あの明るい雰囲気に映える男は、私たちドブネズミではありません。
ドブネズミには、暗がりで目を光らせているという大切な役割があります。
明るいところに出ることは死を意味します。
彼は、まじめですから、医者の助言どおり、せっせと練習に通っているようです。
話を聞いていると、医者の意図とは異なり、まるで修行僧のようでした。
たぶんは、自分より背の高い女性と、まじめに練習している姿が目に浮かびました。
ぎこちない足の運び、女性の足を踏んづけることもしばしばだと思います。
なんとも切ない気分になってしまいました。
ただ、医者のアドバイスですから、止めろとは言えません。
どうもこのまま帰すのは心配で、一人でいるとろくなことは考えないから、今日は泊まって行けと勧めました。
私のところは、友人たちがよく来て、泊まる奴も多くいましたので、布団は二組ありました。
彼も納得したらしく、泊まることになりました。
これが大失敗でした。
翌日、私が目を覚ますと、彼は机に顔を伏せて、座っていました。
驚いて、「どうした」と私。
泣きそうな顔で、「歯軋りが」と彼。
シマッタ、やってしまった。
何たる不覚。
友人たちから、何度となく私の歯軋りのことは聞いています。
朝起きて、私の歯軋りの文句を言うのです。
ただ最初だけで、次からは慣れるかあるいは覚悟が出来ているかするのでしょう、話にも上らなくなります。
何しろ生まれてこのかた、私は自分の歯軋りを聴いたことがないのです。
まったく、忘れていました。
その日は、一晩中眠ることが出来なかったのでしょう、青い顔をして彼は帰ってゆきました。
それ以降、病気が悪くなったとは聞きませんでしたし、普通の付き合いはしていました。
ただし、一度で十分懲りたのでしょう、私のところに泊まることは、二度とありませんでした。
彼は、生物科を卒業し、大きな大学病院の研究所に入ったと手紙をもらいました。
2007年11月10日
観桜コンパ
寮に入って間もないころです。
観桜コンパと云うものがありました。
花見らしいことはわかりますが、寮がやることだから、恐ろしい。
当然酒が出るはずです。
父親がお猪口一杯の酒で、真っ赤な顔になり、踊りだすような家系出身の私にとって、酒は大敵です。
出来れば逃げたいところですが、新入寮生は、半強制的に参加させられました。
ドテラと云うものがあります。
和服の形そのままに、綿を入れた夜具です。
ちゃんちゃんことは異なり、丈は足まであります。
寝巻きの上にドテラを着てその上に布団をかけて寝ます。
北国の寒い冬を乗り切るための手段でした。
先輩たちのほとんどはドテラを持っていました。
寮内の先輩たちの中には、日常もこれを着てすごす人もいました。
福島出身の先輩は、ピンクの水玉模様のブリーフだけの裸の上にドテラを羽織り、前をはだけた姿で寮内を走り回っていました。
すぐ慣れるものですが、ピンクの水玉模様のブリーフだけでも異様なのに、その上にドテラですから、美的感覚に革命を引き起こすほどの衝撃がありました。
観桜コンパは、そのドテラの上に、荒縄を締めて行かなければなりません。
強制的に貸し与えられました。
学ランに赤い襷をし、朴歯下駄をはいた十数人の先輩を先頭に、100人を超す学生が、ドテラを着て近くの桜の名所まで歩いて行くのです。
江戸時代の囚人の行進ですね。
百姓一揆で断罪される囚人たちが、刑場に向かう姿のようでした。
私にとっては、まさに刑場です。
さて会場に着きました。なかなか良いところです。
芝生の敷かれた小さな丘に車座に座らされました。桜があったかどうかは覚えていません。
さあ始まった。
まず発泡スチロールの弁当と2合ビンの酒が配られた。
2合ビンの酒は、自分で飲めとの暗号かもしれない。
まず弁当を食えと言う。容器は捨てるなとの厳命。
食った。
私の隣に座っている見たこともない新入寮生が、「俺は酒が強いんだ」と私に盛んに自慢している。
モンゴリアンは酒が弱いと決まっているはずなのに、こいつゲルマンか。
下戸のこちらとしては、「酒が強けりゃえらいのか」と反論したいところですが、ここは抑えて、「そうか、それなら俺のも頼む」とこちらの酒も飲んでもらう約束をする。
案の定、2合ビンの酒を空の弁当箱に注いで飲めと言う。
少し飲んで、あとは隣に注いでやる。
もういい、今日は十分呑んだ。
隣の奴強いと言うだけあってぐいぐい飲んでくれる。
相変わらず、「俺は酒が強いんだ」と盛んに自慢している。
うるせえ。
こっちはこの災難を、どうにかやり過ごさなくちゃあならないのだ。
やばい、先輩たちが、一升瓶を持って弁当箱に酒を注いで回っている。
こちらにもやってきた。
「弱いんで、少し」と断ったのに、なみなみと注ぎおった。
先輩の前で呑まなければならない。
しょうがないので、半分ぐらい呑んだ。
もう限界を超えている。
満足したのか、隣に移ってくれた。
隣の奴、先輩にも自慢しながら、呑んでいる。
わけのわからないことも口走っている。
うるせえ。
半分残った酒も呑んで貰う。
うるさいが、こいつのおかげで、だいぶ救われた。
しかし、応えた。
目が回る。体がくにゃくにゃになっている。
先輩たちは、自分たちの楽しみに入ったようだ。
小さな車座になって、一升瓶から一気飲みをしている。
無茶する。俺がやったら死ぬ。
気持ちは悪くないが、目が回る。
あれ、隣が静かになっている。
どこかに行ったか。
目をやると、何だこいつ、口から泡を吹いて気絶している。
やっぱりこいつもモンゴリアンだ。
やばいんじゃないの。だけどこっちもやばい。
誰か助けるだろう。生きていろよ。
最後に記念写真を撮ったらしい。覚えはない。
くにゃっとなった自分の姿が写っている。
死人が出たとは聞かなかったので、奴も大丈夫だったらしい。
寮に帰ったあと、うとうとすると、あの2合ビンが目に浮かび、吐いた。
うとうと→2合ビン→吐く
これを何度繰り返したことだろう。
2007年11月03日
Garrard 301 の調整 ベアリング(スラストパッド)
自宅で聴いているときは、こんな音ではありませんでした。
力の入るところで、歪を感じます。S/N比も悪くなっているようです。
私は、Garrard301ほど作りのしっかりしたターンテーブルはないと思っています。
個体差もあまりないと私は思っておりました。
新たに手に入れた301に取り替えますと、以前どおりの良い音でなってくれます。
悪くなったのは、引越ししてからのことですから、その間に、何らかの原因があったことになります。
アイドラーも交換してみましたが直りません。
あとは、音自体に関係するところとしてスピンドルが考えられます。
分解してみました。
回転軸の下に、写真のようなベアリング(スラストパッド)が入っています。
日本ではこのような部品をベアリングと呼ぶことはありませんが、英国では摩擦を軽減するものはベアリングと呼ばれているようです。
どうもここに原因があるように思えます。
ベアリングの外枠の上方に開いた穴に回転軸の下の部分が嵌まります。
写真からお分かりになると思いますが、塩ビの台は円状の窪みが作られていて、その窪みに合わせて、金属部品の下方は弧を描き、上方は回転軸を支えるために平らになっています。
この塩ビの台と、金属部品で摩擦を軽減しています。
どうも何らかの力が加わり、金属部品が枠と固着してしまっているようです。
5枚目の写真は、スピンドルの最下部にある部品です。
これで蓋をして軸を支えています。
この上にベアリングが載りますが、写真の右側を見ると、ベアリングの枠の回転による傷が付いています。
左側に傷はありません。
枠まで回転するのはおかしいです。
修理してみました。
まず、ベアリングを分解します。
軸を下にして、その上にベアリングを載せ、穴に軸の下端をはめ込みます。
手で枠だけを押し下げると塩ビの台が少し出てきます。
今回の部品はそれでは動きませんでしたので、モンキースパナで、枠の3点を押さえるようにして、押し下げました。
必ずしも、全部分解する必要はなく、ほんの少し隙間が出来て、中の金属部品が動けるようにすれば十分です。
隙間を大きく取りすぎると、今度は枠が軸に触れることになりますので、ご注意ください。
これで問題は解決しました。
S/N比も良くなったように感じます。
ただこれだけのことですが、音の変わりようはかなりのものがあります。
今までで一番良いと感じるのは、贔屓目、いや贔屓耳のせいでしょうか。
Garrard401ではこの部品は使われておりません。
問題のある部品であったのかもしれません。
それにしても、Thorens124,Garrard301,音が良いといわれているターンテーブルには、ベアリングの受けに、化学樹脂が使われているのですね。
音の良さの秘訣のようにも思えてきます。
皆様すでに周知のことかも知りませんが、あえて公表しました。
これからも気が付いたことはブログに書くつもりですが、皆様の修理を保障するものではありません。
どうか調整は自己判断、自己責任でお願いします。
調整中部品を壊すことになっても私は関知しません。
このブログを見てよくわからない方は、弄らないほうがよろしいかと思います。