2016年03月15日
PX4 手作りシングルパワーアンプ

PX4の自作シングルアンプである。
自作といっても、私の作ったものではない。
自作を趣味にしておられるお客様に作っていただいた。
PX4は数年前、動作するか不明のものを安く買っていた。
ヒーターの導通だけは確認して、いつか作ろうと思っていたのである。
残念ながら、何年もほったらかしになっていた。
作れそうもないので、去年の真空管オーディオフェア番外編で出店したとき、売ることにした。
真空管の販売は、手伝ってくださった方に、値付けは任せていた。
1万円で売ることになっていた。
売れなかったのである。

それならと、誰かに作ってもらうことにした。
チョークやアウトプットトランスは、英国製アンプをばらした時のものがいくつかある。
電気知識の豊富なお客様に頼んでみた。
電源トランスは日本製を使い、Leakのプリアンプとつなげるように作っていただいた。
製作途中で問題が発覚した。
私は知らなかったのですが、PX4にはヒーターが2組あるそうなのです。
その一つが切れていたのである。
一つでも音は出るけれど、飛ぶ電子の量が半分になってしまうそうである。
音色だけでも確認したかったので、そのまま製作の続行をお願いした。
音さえ出てくれればいい。
先週の土曜日3月12日に、店に完成品を持ってこられた。
三極管のシングルアンプ。
私の自作の経験からすると、細くて高音の綺麗な音を想像していた。
製作者の測定でも、80Hzから20KHzだそうで、その傾向は顕著である。
さらにヒーターの半分は切れているしねえ。
そんなに期待はできない。

さて試聴である。
全然違う。予想した音ではない。
太いのである。
低音の不足も気にならない。
Leakとは違う意味の魅力がある。
私の判断基準は、太くて情趣を感じさせる音である。
ヒーター半分ながら、基準にかなっている。
製作者のお話でも、初めてその音を聴いたとき、驚かれたそうである。
音さえ出れば大したものと考えていた私も驚いた。
コンデンサをオイルコンに換える前からこんな音が出るのか。
すぐにカップリングコンデンサをオイルコンに換えた。
もちろんさらに良くなった。
その日はここまでやって、製作者といろいろなレコードを聴いて過ごした。
ヒーターの半分切れたPX4三極管シングルアンプ、何でこんな太い音が出るのだろうとの私の問いに、「アウトプットトランスがいいんですよ」とのお客様の言。
測定値と、人間が感じる音の良さとの違いをお客様と共に再確認。
製作してくださったお客様に感謝である。
製作者の名前をブログに書いていいかとお聞きしたら、絶対に出さないでくれとのご返事である。
慎み深い人なのだ。
残念。
当然、電源部分もオイルコンにしたい。
シャーシに合わせてオイルコンを入れる台座を作らなければならないが、この大きさでは入りきらない。
翌日、台座を大きくしなければならないなどと考えていた時、使わなくなったStereo20用の台座が目に入った。
ああ、これを利用しよう。
上に2枚の板を渡せば、アンプを置くことができる。
売り物ではないので、それで十分である。
塗りも入れると1週間はかかる台座が、その日に出来上がった。
電源のオイルコンを集めて配線した。
あっという間に完成。
試聴する。
素晴らしい。
こんなに書いて、音を聴かせないわけにはいかない。
当然YouTubeに載せた。聴いてください。
まずは、バイオリンDAVID OISTRAKH、チェロSVIATOSLAV、ピアノLEV OBORIN。
久し振りの中島みゆき。
gtkaudio at 23:43│Comments(0)│オーディオ