2014年04月08日
Leakとの出会い
10年ほど前、母の介護のため塾をたたみ、実家に帰らなければならなかった。
実家は東京下町の長屋である。
郊外の家と違って狭く、大きなオーディオセットは使えない。
マッキンMC75、マランツ8B,マランツ7、マッキンC11、アルテックA7、タンノイモニターレッド入りランカスター、ガラード301 4台、401 1台などは無理な話である。
仕方ない。ほぼすべてを売ってしまった。
残したのは、バッフルにつけたアルテック755EとDeccaのアームのついたGarrard301だけだった。
しかし、まったく音が聴けなくなるのも寂しいはなしである。
小さなアンプが欲しい。
Ebayを見ていた。
地味なデザインのトランジスタアンプがある。
しかも安い。
LeakのStereo30である。
Leakなんて知らないが、地味さと小ささが気に入った。
購入してみた。
驚いたことに送料が価格の数倍であった。
騙されたかとも思ったけれど、乗りかかった舟である、送ってもらった。
音を聴いて驚いた。
良いのである。
トランジスタの音とは思えない。
調べてみると、Leakは真空管アンプも出している。
真空管アンプなら、もっといいのではないか。
がぜん、買いたくなった。
アメリカのアンプとは違って小さくて軽い。
しかも安いのである。
TL/12plusメインアンプとVarislopeⅢプリアンプを購入した。
ともにモノラルだったので、2台ずつである。
日本人など、だれも買う人がいない時代である。
私が知らなかったように、日本人でLeakを知っている人はほとんどいなかった。
だから、安かった。
さて音である。
驚いた。
何に。
真空管とトランジスタの音の連続性にである。
確かに真空管のほうが濃厚な音である。
しかし、基本の音は変わらない。
何だろうと思った。
ある日、実家の狭い6畳で、真空管アンプで音を鳴らしていた時、H.J,Leakに囁きかけられているような気分になった。それも日本語で。
「どうだ、いい音だろう。俺がいい音と思うのはこれなんだ。楽しんでくれ」
身動きできなかった。
こうべを垂れて、音に聴き入るしかなかった。
おそらくH.J.Leakは、トランジスタが真空管よりも良い素材であるとは思えなかったのである。
真空管で作り上げてきた自分の音を、トランジスタでも再現したいと思ったに違いない。
自分の音に対するなんという自信だろうか。
うん、この人は信じられる、と私が感じた瞬間であった。
覚悟を持った人の魂に触れるとき、私は感動を覚える性質(たち)のようです。
gtkaudio at 16:54│Comments(0)│オーディオ








