記憶について同室者 その2

2007年12月15日

同室者 その1

寮で、たまたま同室になった人の話です。


その寮は、3ヶ月に一度くらい、引越しがあり、部屋割りがそのつど変わりました。

何でこんなにたびたび引越しするのかと不思議でした。

後から理由がわかって、なるほどと思いました。

二十歳近辺の若い男たちだけの集団です。

掃除など、よほどの綺麗好きでない限りするものではありません。

引越しすれば、否応なく、掃除をしなければならないのです。

引越しは、大掃除が主目的でした。


寮は、二人部屋でした。

私たちのサークルには、3人の2年生と、4人の1年生で合計7人いました。

ひとり余ることになります。

サークル内の部屋割りはくじ引きで決め、私が余りました。

運が良いと、二人部屋に一人のこともありましたが、その時は他のサークルと相部屋になってしまいました。

相部屋になったサークルが、社研(社会主義研究会)だったのです。


その人は、同じ1年生でしたが、かなり年上に見えました。

あとでわかりましたが、実際年上でした。

無口で何を考えているのかわからない人でした。

同室でありながら、話をしたことがありませんし、挨拶しても、返してくれませんから、そのうち挨拶もしなくなりました。

他人を寄せ付けないところがありました。

私のところへは、同じサークルの仲間がしばしば訪ねてきましたが、その人のところへは、社研の人たちは誰も訪ねてきませんでした。

彼は、社研の人たちから、疎外されている感がありました。


ひと月以上が過ぎた頃です。

どうも様子がおかしいと思うようになりました。


寮の部屋は6畳くらいで細長く、廊下から入ってすぐ片側に2段ベッド、突き当りの窓際に木製の机が二つ、左右に分かれて置いてありました。

私が2段ベッドの上に寝ていると、下にいるその人がベッドから乗り出し、床に向かってつばを吐いているのです。

「汚いな」と思っておりました。

でもこれは同室になった最初からのことでした。


その頃になると、ほとんど1日中、寝ていることが多くなっていました。

大学に行っている様子もありません。


寮の敷地は広く、木造2階建てで、3棟が平行に並んで建っていました。

棟と棟の間は10m程あり、土のままで、草が生えていました。

友人が来て、話をしていた時のことです。

部屋からふと窓の外を見ると、その人が草の上に座っていました。

なんと、草を食べていたのです。

これはおかしいと思いました。


すぐに、社研サークルの人たちに様子を話し、病院に連れて行ったほうがよいと言いました。

彼らも、今まで放っておいたことに責任を感じたのでしょう、大学病院に連れて行ったそうです。


即日、入院することになりました。

<続きは、また書きます>

gtkaudio at 05:31│Comments(0)友人列伝 

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