山スキー 友人C 友人A その1記憶について

2007年12月10日

山スキー 友人C 友人A その2

夕暮れて、山小屋に着きました。

まず友人Cに注意されたのは、ノブを素手で触らないようにとのことでした。

ノブに触れた皮膚の表面が、瞬時に凍ってノブから手が取れなくなるそうです。

無理に取ろうとすると、手の皮が剥がれてしまうとのことでした。

氷点下何十度の世界ですから、そんなこともあるかと納得しました。

それにしても、こんな極限的な世界に、友人Cは、よくぞわれわれのような素人を連れてきたものです。

無謀な奴です。

その無謀さのゆえに、普通では出来ない体験が出来たのですが。


40年近く前のことですので、私の記憶の画像も飛び飛びになっています。

食事をした記憶は全然ありませんが、酒を呑んでいた記憶があります。

友人Cが山小屋に置いてあった1升ビンに入った酒を取り出してきました。

湯飲みに注ぎ、薪ストーブを囲んで、3人で呑んでいました。

友人Aも私も、酒は苦手ですが、仲間が集まるとアルコールを呑むものですから、少しは呑めるようになっていました。

言わずもがなですが、Cはザルです。


普通の日本酒とは違い、ちょっとへんな味でした。

酒を呑みながら、山小屋のノートをAが読んでいました。

私に、ある部分を指差し、読んでみろとノートを渡しました。

メチルアルコールを水で割って、酒を作ったと云うやばい文が書いてありました。

今呑んだこの1升ビンの酒かと、一瞬色めきたちましたが、どうもへんです。

メチルは毒です。そんなことするはずがありません。

ただし、酒の味はやはり変です。


Cの話では、酒を呑んだあと、湯飲みの、呑み残しをこの1升ビンに集めて置いてあるとのことでした。

皆の唾液も入って再発酵しているのかもしれません。

まあ、問題ありませんね。

疲れていたので、適当に切り上げ、寝たと思います。


山小屋には、壁面に棚状のものが何段か作られ、雑魚寝ができるようになっていました。

薪ストーブの熱は、上昇しますから、寝袋に入り、最上段に寝ていたはずです。

Cを真ん中にして、私が一番奥、Aがはしごの近くに寝ていました。


うとうとした頃です。

外で、「ウオー、ウオー」とうなり声が聞こえます。

私は、トラがいると思いました。

トラのうなり声を知っていたわけでもありませんし、日本に野生のトラがいるはずもありませんが、なぜかそう思ってしまったのです。

とにかく猛獣がうなっている。

Cを起こしました。

彼は、落ち着いています。

「Aがいないから、あいつだろう」と彼。

なるほど、さっきの酒が悪かったのか、Aが外で、吐いていたのです。


次に起こったことにも、驚きました。

私の寝袋の足の辺りに、「ジャー」と水が落ちてきたのです。

ビックリして、Cに「雨漏りだ」と告げました。

かなり大量の水が連続して落ちてきます。

Cが手で探って、「イタチか何かがションベンしたんだろう」

「俺のシュラフに掛かったぞ」

「俺は手で触った」

彼は手を洗いに行くでもなし、平然としています。

どうでもいいことみたいです。

考えてみたら、確かにどうでもいい。

「早く寝ろ」と言うことですね。

顔にかからなかった事に感謝して、寝ることにしました。

Cは、なるほど山に慣れていました。


私の記憶はここで途切れます。

次の日、帰ったはずですが、何も憶えておりません。


とにかく、面白い体験でした。今から思えばです。

gtkaudio at 05:14│Comments(0)友人列伝 

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