2024年10月31日

養老渓谷への旅行 その3


 温泉に入る。

私たち3人以外誰もいない。貸し切り状態である。

大浴場に入ると、ガラス越しに、二つの露天風呂が見える。

通常の露天風呂と、雨除けなのだろう屋根に覆われた露天風呂、の2種類である。

二人は3つの風呂全部に入っていた。私は、屋根付き露天風呂はパスした。

シャワーばかりの私は、久しぶりに湯船につかり、気持ちよかった。



次は食事である。

おかずの豪華さと、その量に圧倒される。

それだけではなかった。食べ終わったころを見張らかって、次の品が出てきたのである。

それを、ようやく食い終わった、と思ったら、アルコール燃料が燃え尽きて釜飯が炊けた。

食えやしない。もったいないが、ご飯を一口。あとは残した。

よし、終わったと思ったら、デザートだとよ。

貧乏人は、デザートなんて習慣はない。

水野は逃げた。もういらないといって、外にタバコを吸いに行った。

萩原と私は、ちょっと口を付けた。



タバコを吸いに行った水野が、大きなガラス窓越しにこちらに向かって手を振っている。

ん? あいつ急に消えたぜ。



こけたんだ。

老人がこけると大ごとになることがある。

ごちそうさんを言って、現場に行ってみる。

池の鯉


大丈夫だったようだ。

鯉のいる池に足をとられたらしい。濡れただけで大丈夫のようだ。

「鯉がびっくりして、飛び上がったぜ」

鯉が飛び上がったその光景に、よほど感動したのか、何度も繰り返し話してくれる。

鯉にとっては、いい迷惑だ。

通路じゃない、石の上に入り込んで手を振っていたのだ。

子供みたいじゃん。

水野、好奇心、衰えないね。



大体タバコ吸うとこ、こんなところにあるのか。

おお、入り口近くにちゃんとあった。

タバコ吸いは、目ざとい。



部屋に帰ると、布団が敷いてあった。

寝ころんで、よもやま話。

何を話したなんて覚えちゃいない。

ただ、心地よい時間だった。



疲れたらしく、寝ることになった。

もちろん、すぐには眠れない。

1時間ぐらい、うだうだしていたが、前日、4時間ほどしか寝ていなかったので、眠ったようだ。

眠剤は飲んだのかなー、わからない。

たぶん飲んだんだろう。



一日目、終わり。



続く。



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2024年10月27日

養老渓谷への旅行 その2

通常朝方まで起きている私にとって、早く寝ることは難しい。

なるべく飲まないようにしている眠剤一錠を半分に割って飲む。

ダメだ。通常なら一錠の4分の1で眠れるのに、午前4時になっても眠れない。

もう半分を飲む。ようやく眠ったようだ。8時に携帯の目覚ましで起きる。

東西線で、東陽町にレンタカーを借りに行く。9時前に着く。

実は前日に手続きをしておきたかったが、当日でなければ手続きできないといわれた。

手続きに手間取って、遅れるのを恐れていた。

まあ良かった、問題なく終わった。


荒川区の萩原のところに向かう。

萩原の家には何度も行ったことがあるが、私の属性として、道を覚えてはいない。

車のナビは使い方に慣れていないので、スマホに住所を入れてナビとして使う。


すばらしい、萩原の家にちゃんと着いた。

マンションなので、電話して車まで来てもらう。

私の緊張はここまでである。

あとは隣に座っている萩原に任せる。

すべてを萩原の指示に従う。すぐに訳が分からなくなる私の動物的勘よりも、遥かに安心である。

なにしろ、「止まった時は、後ろを見ておけば、帰りの時の参考になる」などと、私にとってはとんでもないことを萩原は言う。

形象認識に欠陥を抱えた私などにとっては、異能の持ち主としか思えないのである。

後ろを向いたとき、カメラのシャッターを押したかのように、道の画像が切り取られ、即座に記憶されるのである。

そうなのだ、このような能力を持つものは、だれもがこの種の能力があると勘違いするのだ。

どうしてこんな簡単なことができないのだと不思議がる。

本人にとっては、何の努力も必要としない単純なことなのだ。

ところが、私にとっては途方もないことに思える。

自慢じゃないが、俺が同じ場所で10回振り返ったって、何の記憶も残りはしない。



考えてみれば、生まれついての得意不得意は人によって異なる。

日本人は、個々の涙ぐましい努力で、不得意分野を克服し、あらゆる分野で平均以上の国民を作り出していった。

それが戦後社会の状況にぴたりと合致し、日本の経済的発展を支えていたのだと思う。

しかしながら、そのような努力を必要としない状況が生まれてきている。

私のような能力のないもののために、ナビができた。

かつては、多くの電話番号を暗記している人がいたが、今は電話器のなかにいくらでも記憶しておくことができる。

私は記憶力が人並外れて悪く、特に形象認識に欠陥があるため、漢字を覚えることが苦手である。

読むことができても漢字が書けないのである。文章を書けば、ほとんどが平仮名になってしまい、まったくもって恥ずかしい。

文章は書けないと思っていた。

この弱点を救ってくれたのはパソコンである。自動で漢字に直してくれる。

以上のような欠陥を補う助けとなったのは、すべてコンピュータによってである。


このように日常生活にもコンピュータはまさに革命的変化をもたらした。

おそらく、もっと大きな変化をもたらしたところがある。産業界である。

コンピュータによって精緻な処理が可能になった時、どこで作っても製品の質がはるかに上昇し、日本製の優位性は薄れていった。

日本の停滞の原因はここにもある。



いけない、話がそれた。

新松戸にいる水野のところへ向かわなくてはならない。

萩原が車についたナビを設定した。

ナビはなくとも、萩原には新松戸への道はわかっている。

家の近くまで行ったらナビに任せてもいいが、それまでは萩原の記憶の道でよい。

難なく到着する。


水野は体の調子が悪い。10月末には入院を控えている。

入院が決まった時、水野の好きな温泉行を急遽決めたのである。

宿の住所をナビにセットし、水野の家族に送られて出発する。

高速を走っているときである、市原で降りるか、茂原で降りるかで、萩原と水野で意見が分かれた。

私の意見?そんなものはありゃしない。指示待ちロボットドライバーである。

水野が自信をもって茂原だと主張したので、そちらに決まったようだ。

まあ。間違っていた。市原が正解だった。



茂原で降りてからのナビの案内は最悪だった。

指示通りに走っていると、一週回って元の道だったりする。

例えば、「右に曲がります」が、右折することではなく、「道が右にカーブしている」ことを表しているにすぎないと分かるまで、何度か間違えなければならなかった。

最後には、音声案内を止めて,画面の表示だけに従ったら、間違えることはなくなった。

出口を間違えて茂原で降りたことと、ナビに騙されたことで、宿への到着が遅れた。

2時間ほどで着くはずが、3時間以上かかった。

まあ、急ぐたびではない、ドライブを楽しんだと思えばよい。



チェックインにはまだ時間があった。宿の近くの茶店で、軽く食べ物を入れた。

水野は一人景色を見、写真を撮っている。

展望台

好奇心旺盛だ。

景色を見ても何の感慨も、もようすことのない私と異なり、美的センスを持っているということなのだろう。



3時チェックイン。

大きな旅館である。長い建物だ。

入り口近くにエレベータがある。3階まで上がる。4階まであればいいのだが、3階までしかないのだ。

長ーい廊下を歩くと、次のエレベータがある。4階まで上がる。

長ーい廊下をさっきとは反対方向に半分ほど戻ると我々の部屋である。

行って戻るのだから、3分の2は無駄に歩かされる。

ようやく着いた。

10畳ほどの、3人には大きな部屋である。

部屋で荷ほどき

ちょっと休んで、温泉に入ろう。


つづく。









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2024年10月23日

養老渓谷への旅行

一泊旅行をすることになった。

以前、温泉旅行で福島に行った時と同じ、水野、萩原、下村の3人である。

その時の旅行の名目は、水野の睡眠薬依存症の治療の一助になればというもので、2018年12月のブログの記事になっている。

3人は高校の同級生だが、私(下村)は、二人と同じクラスになったことはない。

水野と萩原は中学も一緒だった。

私がつるむようになったのは、高校を卒業してからである。

萩原は、真空管オーディオフェアのリーフレットを作り、水野と二人で来場者に配ってくれた。

顔を覚えている人もいるでしょう。

茶店で休憩
左から、萩原、下村、水野

さて、旅行の準備からである。

私がダメ人間なので、宿は萩原に任していた。

萩原のパソコンの調子が悪いそうで、私にやってみてくれとのこと。



宿の予約、指示してくれれば、できないことはないであろう。

試みる。

萩原は現役の仕事がある。月曜一日休みをもらって、日、月の旅行なら、宿も混まないであろうとの目算である。

10月13,14日で予約完了した。

一人2万円、我々の旅行にしては、まあなかなかいい値段である。



アベノミクスの、輸出品を安くする後進国政策によって、後進国並みの円安になっているから、外国人にとってはこの値段、安いと感じるらしいのだ。

まあ、ちょっと前までアベノミクスを称賛していたのだから、日本国民の自業自得というものだろう。

自国通貨が安いということは、その国の力が弱いことを表している。

安倍元首相は、日本を弱くしたかったのだ。実際に弱くなっているのだから、本望だろう。

元統一教会にシンパシーを感じるような人間である、日本よりも韓国が大事だったのだろう。



さてと、予定の計画はとん挫する。

一週間ぐらいして、レンタカーの予約が取れないと萩原から連絡が入る。

10月14日が旗日であることに、二人とも気づかなかったのである。

私の場合当然だが、注意深い萩原まで気づかないとは珍しい。

10月14,15日に予定を変更する。15日、一日だけ萩原は休めばよい。

2週間ほど前だったので、違約金はなかった。

さらに良いことには、連休を外したので一人1.5万円になった。

5千円安い。貧乏人にはうれしいことだ。



レンタカーは、萩原のお兄さんの車を借りる案もあったから、借りるのが直前になった。

一番安いクラスの車は借りられず、1ランク上のSUVタイプになってしまった。

まあいい、保険を完ぺきにした。

一番元気な私が運転することになる。



さあ、準備完了である。

久しぶりだ、気を付けてゆこう。



続く。






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2024年09月21日

Garrard Model-Tだけどクリスタルカートリッジ

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Deccaの可搬型ターンテーブルである。

中身はGarrard Model-Tそのもの。

カートリッジはXMSかと思いきや、クリスタルカートリッジが装着されている。


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説明書がついていた。

これを見ると、349/Cと349/Mの2種類のDeccaターンテーブルとして販売されていた。

349/CにはSP用とLP用の2個のクリスタルカートリッジ、349/Mには同様に2個のXMSがセットされていた。

これを見てわかることは、英国においては、クリスタルカートリッジやセラミックカートリッジが安もの扱いされていないことである。

Deccaのクリスタルカートリッジを聴いてみたくなった。

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いざ購入してみると、このクリスタルカートリッジはDeccaが作ったものではないと分かった。

説明書によると、針交換の際は、Cosmocord LtDの住所に送るようにと書いてあるから、写真真ん中の本体ユニットはこの会社が作ったものであろう。

写真左のデッカにも、右のCollaroにも、同じユニットが装着されている。

デッカやコラーロは、このユニットを使い外装を整えて販売していた。



クリスタルカートリッジを使う際に気になることは、補正回路をどうするかである。

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説明書に補正回路が載っていた。2種類ある。興味深い。

左は高音をカットする回路である。LPにもSPにも使える簡易的な回路らしい。

右は、LPとSPでトグルスイッチを使い異なる回路にしている。

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トグルスイッチがなかったので、2個のアダプターを作った。左がSP,右がLP用である。

ターンテーブルの出力と、プリアンプの入力の間に入れる。



アダプターなしとアダプターありの音の違いを比較できます。

まずはLP。

Miles Davis Dancing In The Dark Decca クリスタルカートリッジ 補正回路なし

Miles Davis Dancing In The Dark Decca クリスタルカートリッジ 補正回路あり

Model-Tですから、当然Decca XMSも鳴らせます。

Miles Davis Dancing In The Dark Decca XMS


次はSP。

Duke Ellington Sophisticated Lady 78rpm Decca クリスタルカートリッジ 補正回路なし

Duke Ellington Sophisticated Lady 78rpm Decca クリスタルカートリッジ 補正回路あり





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2024年08月25日

2台のGarrard Model-Tの整備 その2

さて2台目である。


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残念ながら、アームが換えられている。

それもプラスチックのアームに、セラミックカートリッジがついている。

おもちゃのようだ。

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簡単に抜ける。

オリジナルのアームには、スイッチを操作するための部品がついているが、当然このアームにはついていない。

電源をON,OFFするスイッチをつけることも考えたが、電源だけでは駄目である。

電源だけの操作では、OFFの時でも回転軸が常にゴム製のアイドラーホイールに接触した状態になってしまう。

そのうちアイドラーホイールにへこみができることになる。

ダメだ。

方針を変える。

もしかして、指でスイッチを操作できないか。

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プラッターの下にちょこっと顔を出しているのが、スイッチに連動しているレバーである。

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指で手前に引けばスイッチが入り、アイドラーホイールが回転軸に接触し、プラッターが回る。

ただし結構力を必要とする。

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スイッチを切るには、逆に向こうに押す。回転軸とアイドラーホイールの接触もなくなる。当然プラッターも止まる。

やはり力がいる。

まあ、やりづらいが、使うには仕方がない。

モーターの回転を、33回転と45回転に変えるベルトが2本ともなかった。

仕方がないので、手持ちのModel‐Tから移植した。

状態の良いベルトである。

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回転スピードの選択は、上の画像左上のレバーで行う。

レバーが右に来ているから33回転である。左の軸がアイドラーと接触している。


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レバーが左にあるから、45回転。右の回転軸が、アイドラーと接触している。

同様にレバーが真ん中に行けば、78回転。回転軸も真ん中がアイドラーと接触する。

どうにか音が出るようになった。

まずは、プリアンプのチュナー端子に直接接続した。

Eve Boswell Besame Mucho Garrard Model-T セラミックカートリッジ 直接プリアンプへ

1MΩの可変ボリュームを直列接続してプリアンプのチュナー端子へ接続した。

Eve Boswell Besame Mucho Garrard Model-T セラミックカートリッジ 1Mボリュームを介してプリアンプへ

菅原都々子 月がとっても青いから Garrard Model-T セラミックカートリッジ 1Mボリュームを介してプリアンプへ 45回転

Tommy Turk and his Orchestra The Beat Garrard Model-T セラミックカートリッジ SP 78回転

以前からわかっていたことですが、英国製品は安物でも音がいい。

Vimeoでは、RIAAにも接続した動画をアップしています。聴いてみてください。











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